コンピュータ・ウイルスの届け出先組織である情報処理推進機構セキュリティセンター(IPA/ISEC)は1月8日,2003年中の届け出件数を集計して公表した。ウイルスを発見したという届け出は1万7425件(2002年は2万352件)だった。届け出件数が最も多かったウイルスは「Klez」(4538件),次いで「Sobig」(2241件),「Swen」(1673件)だった。Klezは2002年の年間集計でも最も届け出件数が多かった。

 2003年は,コンピュータをインターネットに接続するだけで感染する「Blaster」や「Welchia(Nachi)」が話題となったが,IPA/ISECへの届け出件数はそれぞれ445件,307件に留まった。届け出件数の上位を占めたのは,いずれもメールに添付されて送られてくるウイルスだった。とはいえ,IPA/ISECへの届け出は任意なので,感染状況を正確に反映しているとは言いがたい。Welchiaは2004年1月1日で感染活動を停止したが,Blasterは依然感染活動を続けている。IPA/ISECでは引き続き対策を施すよう呼びかけている。

 アンチウイルス・ベンダーであるトレンドマイクロも,ユーザーから寄せられた発見報告件数を集計して公表している。同社の集計によると,最も件数が多かったのはKlezの4041件で,次いでNachi(Welchia)の3265件,「Redlof」の2754件だった。RedlofはWebページを見るだけで感染する,VBScriptで記述されたウイルスである(関連記事)。

 IPA/ISECは同日,2003年12月中のウイルス届け出件数も公表した。最も多かったのはSwen(352件),次いでKlez(290件),「Mimail」(210件)だった。2003年11月に出現したMimailの変種(Mimail.iあるいはMimail.j)にはクレジット・カード番号を盗む“機能”があるので,要注意である(関連記事)。

◎参考資料
コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況について(IPA/ISEC)
2003年度ウイルス感染被害年間レポート(トレンドマイクロ)

(勝村 幸博=IT Pro)