イメージ処理システムなどの開発・販売を手掛けているカーネルシステムズ(東京都文京区,井上隆博社長)は9月から,イメージ分割入力システム「e-Entry BB/ImageSeparator」の本格販売を開始した。インターネットを介して,分割したイメージ情報を複数の拠点から入力できるもので,データ入力の作業効率向上や情報漏えい防止などに威力を発揮するシステムだという。

 e-Entry BB/ImageSeparatorの仕組みはこうだ。まずスキャナから読み込んだ申込書などのイメージ情報を,例えば氏名,住所,電話番号などといった項目ごとに分割する。次に,インターネットを通じてこれら項目ごとにバラバラにしたイメージ情報を入力者がいる,例えば広島,仙台,上海などといった国内外の様々な場所に送る。入力者は入力ソフトe-Entry BBを搭載したパソコンからイメージ情報を見ながらデータ入力する。そして再度,イメージ分割ソフトのImageSeparatorを使って,バラバラに入力されたデータを統合する。

 e-Entry BBを載せたパソコンには入力,ベリファイ,イメージ処理などの機能を備えてある。入力したデータはパソコン側には残らず,サーバー側で蓄積・管理する。このため,例えば在宅で行っている入力状況の進捗管理,データ入力の精算・支払いなどにも使える。また,申込書などのイメージ情報をバラバラにすることで,その申込書の全体は個々の入力者には分からないので,個人情報の漏えい防止にも役立つ。数字だけ,名前だけを入力させるので,作業効率も上がるという。

 価格は,従来のデータ入力専用機の2分の1以下を実現できた。同社によると,これまでの入力専用機は10クライアントで,2000万~2500万円だが,e-Entry BB/ImageSeparatorは835万円(10クライアント用ソフト,運用管理やイメージを蓄積するサーバー用ソフトなどから構成)である。Linuxを搭載したPCサーバー1台当たり200~300クライアントを接続できる。

 カーネルシステムズは今年度に50システム,2004年度に150システムの販売を見込んでいる。

(田中克己=コンピュータ・ネットワーク局コンテンツ開発)