エレクトロニクスおよびIT分野の業界団体「電子情報技術産業協会(JEITA)」は8月6日,ユーザーに無線LANの危険性を呼びかけるためのガイドラインを作成し公表した。ガイドラインに従って「無線LANは盗聴や侵入の危険性があること」「WEPを設定したりVPNを併用したりしてセキュリティを高める必要があること」――をマニュアルやカタログなどに記述して,ユーザーに注意を呼びかけるようベンダー各社に要請する。

 ガイドラインを作成することで,ベンダー各社が足並みをそろえて注意を呼びかけるようになるとともに,表現を統一できるのでユーザーが混乱することを防げるという。JEITAに加盟していないベンダーやプロバイダ,パソコン販売店などに対しても協力を依頼する。

 無線LANの危険性は以前から叫ばれているものの,なかなか対策が進まない。そこでJEITAでは,監督官庁である経済産業省と協議し,業界全体でユーザーに注意を呼びかけるためのガイドラインを作成した。経済産業省のリリースによれば,「ベンダー側が自らの責任について言及した初めての取り組み」としている。

 とはいえ,いくらベンダーが注意を呼びかけても,ユーザーが対策を施さなければ意味はない。ガイドラインでも「セキュリティをかけるのはユーザーの責任」と明言している。ユーザーは無線LANの危険性を認識して対策を施す必要がある。ベンダーも,単に注意を呼びかけるだけではなく,デフォルトでよりセキュアな製品を出荷する責任がある。

 JEITAによると,ガイドラインに従ったマニュアルは,来春以降発売される機器に同梱される予定である。また,今回のガイドライン作成は,無線LANのセキュリティに関する取り組みの第一歩に過ぎないという。具体的な内容については未定だが,今後も同様の取り組みを続ける予定である。

◎参考資料
無線LANのセキュリティに関するガイドライン(JEITA)
「無線LANのセキュリティ」に関する自主ガイドライン策定について(経済産業省)

(勝村 幸博=IT Pro)