トレンドマイクロは6月30日，Web（HTTP/FTP）経由で送られるウイルスをリアルタイムで検出するゲートウエイ型ウイルス対策製品の新版「InterScan Web Security Suite」を発表した。従来製品には，ICAP（Internet Content Adaptation Protocol）対応のキャッシュ・サーバーと連携する機能しかなかった。新版ではプロキシ・サーバーとして単独で動作する機能も備えた。出荷開始はSolaris版が7月30日。Windows版は2003年10月，Linux版は2004年上旬を予定している。価格は同製品を利用するクライアント数が500から699の場合，1クライアントあたり2200円など。
InterScan Web Security Suiteは，同社が2002年6月から提唱している「エンタープライズ プロテクション ストラテジー（EPS）」に対応した製品の1つである。EPSに対応した製品は，同社の管理ソフト「Trend Micro Control Manager 2.5」と連携させれば，同社が配布するパターン・ファイル（ウイルス定義ファイル）だけではなく，「アウトブレークコマンダーポリシー」でもウイルスを検出できる（関連記事）。
パターン・ファイルがウイルスの特徴を抽出したデータベース・ファイルであるのに対して，アウトブレークコマンダーポリシーはウイルスのファイル名や，ウイルスが確認されたサイトのURLなどを収めたデータ・ファイルである。アウトブレークコマンダーポリシーを使ってチェックする場合には，ウイルス感染ファイルからウイルスだけを取り除くことはできない。また，パターン・ファイルでチェックする場合と比較すれば検出精度は落ちる。その代わり，パターン・ファイルよりも短時間に作成できるというメリットがある。アウトブレークコマンダーポリシーを使うことで，新種ウイルスが出現してからパターン・ファイルが作成および配布されるまでの“空白期間”を埋められるという。
EPSに対応したWeb用ゲートウエイ製品としては「InterScan WebProtect for ICAP」が2003年3月から出荷されている。ただし同製品は，米Network Applianceの「NetCacheシリーズ」や米Blue Coat Systemsの「CacheFlowシリーズ」といったICAP対応キャッシュ・サーバーと連携してウイルスをチェックするために開発された製品なので，単独で動作させることはできない。
「InterScan WebProtect for ICAP」の後継である「InterScan Web Security Suite」は，プロキシ・サーバーとして動作する機能も備えたので，キャッシュ・サーバーがなくても単独で利用できる。ICAP対応のキャッシュ・サーバーと連携させることも可能である。加えて，「InterScan Web Security Suite」ではパフォーマンスを向上させたという。
トレンドマイクロは同日，既に出荷しているメール・サーバー用ウイルス対策ソフト「Inter Scan Messaging Security Suite 5.1」と管理ソフト「Trend Micro Control Manager 2.5」，および今回発表した「InterScan Web Security Suite」を同梱した「Trend Micro InterScan Gateway Suite」を発表した。出荷開始は7月30日。価格は同製品を利用するクライアント数が500から699の場合，1クライアントあたり3630円など。
「Inter Scan Messaging Security Suite 5.1」には，SMTPだけではなく，HTTPやFTPのプロキシ・サーバーとして動作してウイルスをチェックする機能も備わっているが，パフォーマンスを重視する組織では，メールはInter Scan Messaging Security Suiteで，WebはInterScan Web Security Suiteでチェックすることを同社では勧めている。
【7月1日訂正】「Inter Scan Messaging Security Suite 5.1」には，HTTPやFTPのプロキシ・サーバーとして動作してウイルスをチェックする機能は備わっていない。メールのプロトコル（SMTPとPOP3）にしか対応していない。訂正し，おわびいたします。【7月1日訂正ここまで】
◎参考文献
◆「トレンドマイクロ エンタープライズ プロテクション ストラテジーに完全対応『Trend Micro InterScan Gateway Suite』を7月30日より新発売」（トレンドマイクロ）
（勝村 幸博＝IT Pro）
