マイクロソフトはインスタント・メッセンジャ「MSN Messenger 6.0」のプレビュー版を6月19日,公開した。アニメーション効果の絵文字が使えたり,テレビ電話機(WebCam)能を標準組み込みにしたり,背景画像をチャット相手と共有したりと,これまでのMSN Messengerに比べて,使う楽しさが加わっている(関連記事)。正式版のMSN Messenger 6.0は2003年7月中旬に提供する予定。

 見た目のにぎやかさ以外でも新機能がある。MSN Messengerのピア・ツー・ピア・クライアント機能を用いて,サード・ベンダーがネット対戦ゲームなどのピア・ツー・ピア・アプリケーションを開発できるようになったのである。「Peer to Peer Plugin Platform(P4)」と呼ぶ基盤をMSN Messenger上に用意して,P4のAPIを用いることによって,アプリケーションを開発する。このために「Messenger Peer to Peer SDK」を提供する。提供時期はMessenger正式版公開と同時期の予定。

 P4を用いたピア・ツー・ピア・アプリケーションの実装例が,プレビュー版でも提供されている「三目並べ」である。「この三目並べのソース・コードはSDKで公開される予定」(マイクロソフトでMSN Messengerのプロダクトマネージャーを務める坂元淳一氏)。ピア・ツー・ピア通信の細かいプロトコル処理が隠蔽されて,簡単なコードで三目並べを作れることが分かれば,上位のプログラム次第で様々なピア・ツー・ピア通信のアプリケーションを作れることが推測できるだろう。

 手軽にピア・ツー・ピア・アプリケーションが作れるようになる反面,悪意を持った人物がこのSDKを使えば,危険なアプリケーションを作る可能性もある。こうしたリスクに対する対策としてか,マイクロソフトはこのSDKを開発者向けプログラム「MSDN」で配布するのではなく,特定のベンダーにだけ提供するとしている。また,できあがったアプリケーションは,ネット上の不特定のところから取り込めるのではなく,マイクロソフトのサイトにアプリケーションを置き,MSN Messengerのメニューに選択肢として現れるようにする。

 MSN Messenger 6.0の対応OSはWindows 98/Me/2000/XP。Windows 95やNTでは使えない。MSNのWebサイトから無料でダウンロートできる。

(和田 英一=IT Pro)