ニフティは6月2日から,不正侵入やウイルスを防ぐサービス「@nifty BBセキュリティ」の試験サービスを開始する。対象は,ブロードバンド接続(ADSLや光ファイバ)を利用する@nifty会員。ISP側でメールやWebページ中に仕込まれたウイルスをチェックするとともに,ポートスキャンやユーザーのパソコンへの接続要求を遮断して不正侵入を防ぐ。ユーザーがソフトウエアをインストールしたり設定変更したりする必要はない。無料で試験サービスを利用できるモニター2000名を,6月2日午前10時から同社ページで募集する。

 メール中のウイルスをチェックするサービスとしては,同社は「ウイルスバスター for @nifty Mail」を用意している。このサービスは,メール・サーバー上で,ユーザーが送受信するメールにウイルスが含まれていないかどうかをチェックするものである。

 それに対して「@nifty BBセキュリティ」では,ユーザーのパソコンとインターネットとの間でやり取りされるトラフィックすべてをチェックする。ユーザーのパソコンはニフティのセキュリティ・センターにVPN接続し,セキュリティ・センター経由でインターネットに接続することになる。セキュリティ・センターでは,ユーザーのパソコンに出入りするトラフィックをチェックし,不正侵入やウイルスを防ぐ。具体的には,ユーザー・パソコンへ接続要求するパケットをすべて遮断して不正侵入を防ぐ。

 加えて,トラフィックに含まれるウイルスを検知して駆除する。すべてのSMTP/POPトラフィックをチェックするので,@niftyのメール・サーバー経由で送受信するメールだけではなく,ほかのメール・サービスで送受信するメールもチェックする。さらに,Webページに含まれるウイルスや,HTTPでダウンロードするファイル中のウイルスも検知できる。

 ただしこのサービスでは,パソコンへの接続要求をすべて遮断するので,パソコン上でサーバー・ソフト(Webサーバー・ソフトやP2Pソフトなど)を稼働させていても,インターネットからアクセスできなくなる。

 また,モバイル環境などから@niftyのメール・ボックスにアクセスした場合には,トラフィックがセキュリティ・センターを経由しないので,メールにウイルスが含まれるかどうかをチェックできない。加えて,セキュリティ・センター経由でも,HTTP以外のプロトコル(FTPなど)でダウンロードするファイルはチェックできない。

 サービスを利用する際に,ユーザーは特別なソフトウエアをインストールする必要はない。Windows 2000あるいはXPが備えるVPN機能(PPTP)を利用する。このため,Windows 2000およびXP以外のOSでは利用できない。設定などは同社のセンターから行われるので,ユーザーは何もする必要がない。

 「@nifty BBセキュリティ」を利用できるのは,(1)Windows 2000あるいはXPを使用し,(2)ブロードバンド接続(各社のADSL接続サービス,フレッツADSL,TEPCOひかり,Bフレッツ,Cable@nifty)を利用している(3)@nifty会員である。加えて,(4)@niftyフォンあるいはIPv6サービスを利用していないことが条件である。

 上記すべてに該当するユーザーでも利用できない場合がある。例えば,パソコンとセキュリティ・センターの間にVPNを通さないルーターなどがあると利用できないという。利用できるかどうかは,サービスの申し込み時に確認できる。

 試験サービスは2003年夏まで。具体的なサービス終了日時については未定である。正式サービスの開始は,試験サービス終了後の2003年夏を予定している。正式サービスの料金は未定だが,500~1000円になる見込みである。

◎参考資料
「@nifty BBセキュリティ:サービス概要」(ニフティ)

(勝村 幸博=IT Pro)