「IP電話機は,まずはボタン電話機と同じ価格で同じ機能のものにする」と次世代製品の構想を明かすのは,岩崎通信機の開発本部ソリューション技術部の嶋谷俊道部長。現在のIP電話機は定価ベースで6万円程度だが「これを3万円台前半にコストダウンした新モデルを年内に投入する」(嶋谷部長)。

 価格引き下げの最大のポイントは,低価格版VoIP(Voice over IP)チップの採用。「ボタン電話機からの価格上昇分のほとんどはVoIPチップが占める」。現在,米BroadcomのVoIPチップを用いているが,その低価格版が登場し,それを採用する。

 それ以外に,現在の同社のIP電話よりもきょう体を小型のものにする,液晶画面を小さくする,外線などを選ぶボタンを20個から8個に減らす。きょう体は同社のボタン電話機「SOABLE(ソアブル)」のものを流用する。

 オフィスでのIP電話は東京ガスなどの大規模な事例が登場しつつあるが,中小規模の事業所ではまだほとんど使われていないのが実状。ボタン電話機並みの価格でオフィス用IP電話機を提供することで,ボタン電話機の買い換え需要を取り込む考えだ。

(和田 英一=IT Pro)