NECは,3月19日から開始するIP電話サービス「BIGLOBEフォン(PN)」の月額基本料を実質的に無料で提供する。BIGLOBEフォン(PN)の月額基本料は280円だが,「IP電話特価」を設けて,ADSLを用いたインターネット接続サービスを280円値下げして提供するのだ。

 BIGLOBEフォン(PN)はぷららネットワークスのIP電話基盤ネットワークを用いて提供するサービス。フレッツ・ADSL,Bフレッツのユーザーが対象で,電話機の接続装置はNTT東西地域会社が提供するものを用いる。通話料金は,国内の固定電話に対しては3分8円の全国均一料金である。

 IP電話を利用する際に,通話料の安さは魅力だが,月々の固定費を見落としがちである。月々の固定費には,たいていの場合,IP電話の月額基本料と電話機の接続機器のレンタル料がある。IP電話で事実上独走しているソフトバンク・グループの「BBフォン」では,月額基本料390円,レンタル料690円がかかる。ところが,同グループのインターネット接続サービス「Yahoo! BB」を併用すると,これらの料金は無料になる。つまり,Yahoo! BBユーザーがBBフォンを用いるのに,追加料金は不要である。

 これに対して,他のIP電話サービスでは,月額基本料金が280円~380円程度,機器レンタル料の増分が200円~380円程度になる。こうした固定費のために,いくら通話料が安くても,それなりに電話を使っている人でないと,固定費分を回収できない。

 BIGLOBEフォン(PN)は「IP電話特価」によって,追加料金を電話接続機器のレンタル料だけに留めた。具体的には,ADSLモデム内蔵ルーター型で290円(レンタル料730円-ADSLモデムのレンタル料440円),ルーター型あるいはアダプタ型で380円が追加でかかる。3分8円の通話料で,290円あるいは380円を回収できれば,BIGLOBEフォン(PN)はお得ということになる。BIGLOBEは,こうした意欲的な料金設定によって,先行するBBフォンおよびYahoo! BBを追撃する構えだ。

 なお,同じぷららネットワークスのIP電話基盤ネットワークを用いるオン・ザ・エッヂの「livedoor フォン for FLET'S」は,通話料をBBフォンよりも0.1円安くして,やはり3月19日からサービスを開始する(関連記事)。ただし,月額基本料280円と,NTT東西地域会社の接続機器レンタル料がかかる。

 BIGLOBEフォン(PN)は,livedoor フォン for FLET'SなどぷららのIP電話基盤ネットワークを用いる他社のサービスと無料で相互に通話できるようにする予定である。しかし,NECが提供する他のIP電話サービス「FUSION IP-Phone for BIGLOBE」「NTTコミュニケーションズ IP-Phone for BIGLOBE」との間では,今のところ通話はできない。

(和田 英一=IT Pro)