東京通信ネットワーク(TTNet)は,3月3日から「東京電話インターネットIP電話サービス」(仮称)の試験サービスを始める。適用回線はADSLに留まらず,FTTH(fiber to the home)サービスでも利用でき,両者の間で相互に無料通話できるのが特徴。試験サービス中は無料で提供する。

 試験サービスのモニターは2月4日から,東京電話インターネットのWebサイトで募集する。募集人数は2000人。対象となるのは,ADSL接続サービスとしてはイー・アクセスとフレッツ・ADSLによるもの,FTTHとしては「TEPCOひかりホーム」「TEPCOひかりSOHO」「Bフレッツ・ファミリー/ニューファミリータイプ対応」「Bフレッツ・マンションタイプ対応」の各サービス。

 ユーザーには「050」のIP電話専用番号を割り当てる予定。イー・アクセスのADSL回線の場合はイー・アクセスが提供するIP電話対応ADSLモデムを用いる。それ以外の場合は,ADSLモデムまたは光終端装置にLANで接続する,IP電話機能付きブロードバンド・ルーターを用いる。これらの機器に,通常の電話機を接続して,サービスを利用する。

 このIP電話サービスのユーザー間では,050の番号を使って,発信できる。このほか,国内の一般加入電話に試験サービス中は無料でかけられる。携帯電話/PHS,国際電話,110番などの緊急電話などは一般加入電話回線で発信する。

 他のインターネット接続事業者(ISP)では,サービス回線ごとのIP電話サービスを提供する事業者が異なり,同じISPでありながら,異なるIP電話サービスであるため,相互無料通話ができないケースも発生している(関連記事)。しかし,TTNetでは異なる回線のユーザー間であっても,無料相互通話ができるようにする。

 IP電話の基盤ネットワークは,TTNet自ら構築・運営する。今年前半のうちにKDDI,日本テレコムのIP電話サービスと相互接続し,無料通話を実現する予定である。TTNetのIP電話基盤ネットワークは今後,他のISPが利用できるようにしていくことも検討している。

 もう1つの特徴は,イー・アクセスのADSL回線以外のユーザーに対しては,IP電話機能付きブロードバンド・ルーターを買い取り制にする点。他のISPは月数百円でレンタルしていることが多いが,TTNetでは,サービス開始時にユーザーに認定機器を量販店などで購入してもらう。認定機器の選定は現在,進行中。試験サービス時には1社の製品だが,商用サービス時には複数の製品を認定する可能性もある。「初期費用はユーザーに負担していただくことになるが,この分野は技術の進歩が早いために,レンタルにするよりは,ユーザーの判断で新製品に買い換えるといったことができるように,買い取り制にした」と同社のサービス開発本部IP電話プロジェクト第2グループの古川浩史課長は説明する。

 商用サービスは2003年4月から5月にかけて提供する予定。料金はまだ明らかにしていない。「電話会社ならではの品質を,そこそこの料金で提供したい」(古川課長)としている。

(和田 英一=IT Pro)