トレンドマイクロは9月26日,ウイルス対策ソフトの新版「ウイルスバスター2003リアルセキュリティ」を発表した。旧版から備えるパーソナル・ファイアウオール機能を特に強化した。標準価格は8500円で,販売開始は11月1日を予定している。ライセンスの有効期間内ならば,旧版ユーザーは無償でバージョンアップできる。

 新版で加わる機能は以下の6点。

  1. 複数のポートをボタン1つで無効にする「無線LANセキュリティモード」
  2. ユーザーが指定したポートを有効にする「インターネットアクセスコントロール」
  3. パソコンから外部への通信を検出する「パケットの自動検出機能」
  4. ウイルスの警告情報を表示する「ウイルス緊急警告」
  5. パターン・ファイルを自動的に更新する「インテリジェントアップデート for ブロードバンド」
  6. ウイルス検出後の処理方法を指示する「ウイルス処理アシスタント」

 ウイルスバスターのパーソナル・ファイアウオール機能を「無線LANセキュリティモード」に切り替えると,公共の無線LANアクセス・サービスでは危険と思われるプロトコル(例えばファイル共有など)はすべて無効になる。無効にするプロトコル名は明示されていないが,「外部からのアクセスはほとんど遮断する」(トレンドマイクロ マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 山崎裕二氏)。この機能を使えば,公共の無線LANアクセス・サービスを使用する際に,いちいち設定を変更する必要がなくなる。ただし,どのプロトコルを無効にするのかといった,無線LANセキュリティモードの内容をユーザーが変更することはできない。

 また,旧版のパーソナル・ファイアウオール機能では,ユーザーはセキュリティ・レベル(高/中/低のいずれか)の切り替えしかできなかった。そのため,「セキュリティ・レベルを『高』にしたまま,特定のポート(アプリケーション)だけを許可する」といった設定ができなかったが,新版では「インターネットアクセスコントロール」の名称でこの機能を備えた

 さらに,パソコン内のアプリケーションが外部へ通信しようとすると警告画面を表示する「パケットの自動検出機能」も備えた。通信を検出すると,そのプログラム名や使用するポート番号を表示する。スパイウエアなどの通信を検出して無効にすることが可能となる。通信を許可すれば,そのアプリケーションの通信は「除外リスト」に加えられ,以後は通信できるようになる。

 ウイルス対策機能についても,新機能が3つ加わった。1つが「ウイルス緊急警告」で,急激に感染が広がっているウイルスの警告情報を,パソコン画面上にポップアップ・ウインドウで表示する。警告情報自体はトレンドマイクロのサーバーに置かれている。ウイルスバスターは定期的に同社のサーバーにアクセスし,警告情報が置かれている場合にダウンロードして表示する。

 2つ目がパターン・ファイルを自動更新する「インテリジェントアップデート for ブロードバンド」機能である。旧版でも自動更新する機能は備えていたが,(1)更新する際に,ユーザーに確認を求める,(2)一度更新したら,その後24時間は新しいパターン・ファイルがあるかどうかを調べない――といった制限があった。新版では,ユーザーに確認を求めない設定が可能になるとともに,パターン・ファイルを確認する間隔も自由に設定できる。

 3つ目が,ウイルスを検出した際の処理方法を指示する「ウイルス処理アシスタント」である。検出した際に表示される「駆除」や「隔離」といった分かりづらい用語や処理手順などを,ウイザード形式で説明する画面が表示される。

(勝村 幸博=IT Pro)