「2010年には次世代インターネット・プロトコルのIPv6を利用する財,サービスの市場規模は170兆円になる」との試算を総務省の諮問機関である情報通信審議会が明らかにした。これは8月7日に開かれた情報通信審議会総会において報告された「21世紀におけるインターネット政策の在り方について」という諮問に対する中間答申の中で述べられているもの。

 170兆円の内訳は,
1.IPv6化した通信・放送・端末機器/コンテンツ/サービス市場:32兆円
2.IPv6化した機器・機械類:35兆円
3.IPv6端末化する生産物・サービス:40兆円
4.IPv6インターネットを利用したサービス・商取引など:63兆円
となっている。

 4者について解説すると,1は既存の情報通信端末・機器やサービスの市場のうちIPv6に対応する市場を指す。パソコンやインターネット接続事業者だけでなく,携帯情報端末やインターネット・データセンターなども含まれる。

 2は,これまでネットワークには接続していなかったが,IPv6を実装することによって,ネットワークにつながる情報通信端末・機器を指す。自動車(インターネット・カー)なども含まれる。

 3は,例えば製造物の管理にIPv6を用いた場合である。工場で製造物に非接触型ICタグを付けて,そのICタグがIPv6で通信することにより,生産管理を行うという場合が当てはまる。さらにこうしたIPv6対応ICタグを用いた物流サービスなども含まれる。

 4については,金融資産,不動産の売買や医療サービスといった分野でも,IPv6によって通信の安全性が高まることによって,新たな市場が生まれるとしている。

 これら4者の総額170兆円は,2010年の国内総生産の試算値1130兆円の15%に当たる。「インターネットを活用する製品,サービスやそれらの間を流通するコンテンツに関する産業が,日本経済の成長のけん引役となりうる」と中間答申では述べ,情報通信産業の可能性を訴えていた。

(和田 英一=IT Pro編集)

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