ソフトバンク・グループは,ADSLサービスで競合するイー・アクセスを営業妨害していると訴える書面を7月16日,総務省に提出したことを明らかにした。イー・アクセスは,ソフトバンク・グループが提供する「Yahoo! BB 12M」で採用する「Annex A.ex」が他のADSL回線に干渉するとして,総務省に書面で苦情を訴えていた(掲載記事)。

 これに対して,ソフトバンク・グループは,7月16日,Yahoo! BB 12Mサービスの記者説明会を開き,ソフトバンクの孫正義社長自ら,サービスに問題がないことを訴えた。なお,料金などのサービス概要はすでに6月27日に発表しており,今回の記者説明会は,サービス全般の説明というよりは,イー・アクセスに対する反論という色彩が強かった。

 ソフトバンク・グループ側の主張をまとめると次の3点になる。

1.上り回線の帯域に下り回線の帯域がオーバーラップすることは,自らの回線が最も影響を受ける。しかし,実証実験の結果,上り回線への影響はほとんど認められなかった。このため,他方式のADSL回線への影響もほとんどないと考える。

2.1年半前にNTTにスペクトラム・データを出している。なぜ今になって問題とするのか分からない。

3.そもそもITU-T準拠の方式であるから問題はない。イー・アクセスが問題ありとするならば,ITU-Tの場で争うべき。

 ソフトバンク・グループは,すでに行っている試験サービスでのリンク速度(上り/下り)の実証データも明らかにした。平均1Mビット/秒のリンク速度の向上が見られたという。また,Yahoo! BBを提供している約1200局のうち,すでに1000局以上で12Mサービスのための設備を導入していることも明らかにした。

(和田 英一=IT Pro編集)