ニフティは新しいビデオチャット・サービス「EyeballパティオLite」を5月21日から始めた。ブロードバンド・ルーターの内側のプライベートIPアドレスが割り振られたパソコンからでもブロードバンド・ルーターを超えてサービスを利用できるのが特徴。利用料金は月額500円から。

 EyeballパティオLiteは同時に3人までの人が動画像による会話や文字によるチャットを楽しめる。こうした基本機能のほかに,ビデオ画面で生の姿を見せたくないときに,代わりの絵を表示させるアバター機能,通話したくない相手のIDを登録しておき着信を拒否する「お断りリスト」,相手にファイルを送信する機能などを備えている。

 EyeballパティオLiteを利用するには「パティオネーム」が必要である。このパティオネームを取得するには@nifty会員またはCombo会員である必要がある。これらの会員は3個までのパティオネームを取得できる。パティオネーム1個あたり月額500円の利用料がかかる。パティオネームを複数,取得した人に対しては,割引することも検討している。

 EyeballパティオLiteにログインするためには,このパティオネームとパスワードが用いる。@niftyのIDとパスワードは必要ない。このため@nifty/Combo会員が取得した2番目,3番目のパティオネームを,@niftyのIDを持っていない家族や友人に使ってもらうことができる。ニフティはこれにより,@nifty会員以外にもサービス利用者を広げることを狙っている。同社は「早急にサービスを立ち上げ,まず1万ユーザーを目指したい」(同社のコミュニティ部鈴木孝充部長)としている。

 EyeballパティオLiteの基礎技術はカナダのEyeball Networks社が開発した。同社が開発したオリジナルのビデオチャット「Eyeball Chat」はソフトウエアのダウンロードが必要だった。ニフティでは,ソフトのダウンロードすることなく,ブラウザ上で手軽に利用できるようにするためにプロハウスに開発を依頼。プロハウスはActiveXを用いて,これを実現した。このため,パティオネームとパスワードがあれば,出先のパソコンでもEyeballパティオLiteを利用できる。

 またEyeball Networks社の「Any-Bandwidth Technology」により,ユーザーが用いる回線の帯域幅に応じて,動画や音声の通信で用いる帯域幅を自動的に調節するという。これにより高速回線の人はきれいに,低速回線の人でもそれなりにビデオチャットを楽しめる。

 パティオネームの管理はニフティのサーバー側で行うものの,実際の動画や音声データのやりとりはユーザー間でいわゆるP2P通信により直接行う。他社のチャット・サービスでは,ユーザーのパソコンにプライベートIPアドレスが割り当てられている場合は,サーバー経由の通信になることが多いが,EyeballパティオLiteでは,プライベートIPアドレスの場合でも,直接通信する。このためユーザー数が増えても,サーバー側にはあまり負荷がかからないとしている。

 前述のように,Lite版では同時通話できるのは3人に限られている。さらに多くの人と同時に会話をしたい場合は,この夏に予定されている「EyeballパティオPro」を利用するしかない。Lite版では実現されていない,参加者全員で共用して書き込みのできるホワイトボード機能などがPro版では加わることが想定できる。

(和田 英一=IT Pro編集)