スリーコム ジャパンは米3Com製の無線LANカードを日本国内で販売すると3月5日発表した。販売する「3Com 11Mbps ワイヤレスLAN PCカード」はIEEE802.11b準拠で最高伝送速度は11Mbps。アンテナ部分は軽く押すことで飛び出す「XJACK」タイプになっている。使わないときは,出っ張り部分はなくPCカード・サイズに収まるのが特徴。

3Com 11Mbps ワイヤレスLAN PCカード  XJACKアンテナが収容されている状態
無線LAN利用時にはこのようにXJACKアンテナを出して用いる

 米3Comでは固定アンテナ式の無線LANカードも販売しているが,日本国内では販売しない。すでに国内では多数のメーカーが1万円以下で固定アンテナ式のカードを販売しており,価格的に対抗するのは難しいと判断した。そこで国内市場では販売されていない,XJACKアンテナの製品だけに絞って販売し,差異化を図ろうとしている。

 XJACKは同社のモデム・カードやLANカードなどでも採用されている方式。これらではケーブルを差し込む部分が飛び出し方式でXJACKと呼んでいた。ケーブルを差し込まないときは,XJACKは引っ込んでいて,PCカード・サイズに収まる。3Com 11Mbps ワイヤレスLAN PCカードはアンテナ部分をXJACKアンテナと呼ぶ飛び出し方式にした。

 国内での販売はシネックス,ソフトバンク・コマース,ネクストコム,ネットワールドが担当する。出荷は早くて3月9日から。価格はオープンだが,1万7800円程度の予定である。

 なお,プレゼンテーションを行った米3Comのモバイル・コネクティビティ事業部,Mark Bisaillon製品系列マネージャは,今後の無線LAN製品の製品計画についても説明した。それによると,2002年第3四半期(7~9月)の前半にコード名「Visa 2.0」と呼ぶ今回発売した無線LANカードの上位版を発売する。Visa 2.0は現行製品と同じくXJACKアンテナを用いている。強化点は,このPCカードをつけたノートパソコンが移動して,アクセスポイントが切り替わったときに,異なるサブネットであっても自動的にIPアドレスをつけ直す機能が加わる点。現行製品は,移動に伴いサブネットが変わってしまうと,手動でIPアドレスをつけ直さなければならない。

 2002年第3四半期(7~9月)の後半には,IEEE802.11a対応の固定アンテナ式の無線LANカード(コード名:Atilla 1.0)を発売する。IEEE802.11aは最高速度54Mbpsだが,今,広く使われているIEEE802.11bとは用いる周波数帯が異なり,互換性はない。

 そこで,2002年末から2003年初めにかけてIEEE802.11aと11bの両方に対応した無線LANカードを提供する予定だ。この無線LANカードはAtilla 1.0とVisa 2.0の機能を1枚のPCカードに納めたもので,既存のIEEE802.11bのアクセスポイントしかない場所でも利用できる。これらの新製品の価格はいずれも未定としている。

(和田 英一=IT Pro)