コンピュータ・ウイルスの届け出先機関である情報処理振興事業協会(IPA)セキュリティセンターは2月7日,1月のウイルス届け出状況を発表した。「Badtrans.B」ウイルスを発見したという届け出は1381件(全体の6割)で依然多いものの,実際に被害を受けたのはそのうち197件(14.3%)で,2001年12月の20.1%よりも減少している。1月末に出現して猛威を振るった「Myparty」ウイルスの届け出は107件だった(関連記事)。

 1月中にウイルスを発見したという届け出の総数は2283件で,そのうち実際に被害に遭ったのは311件である。届け出が多かったウイルスは,Badtrans.B,「Hybris(151件)」,「Mgistr(138件)」,「Aliz(109件)」,そして Myparty だった。一時的には猛威を振るったMyparty だったが,発病期間が1月25日から1月29日までだったために,被害はそれほど大きくならずに済んだ。

 同センターでは,ウイルス感染の兆候に注意して,疑いがある場合には,最新のパターンファイル(「ウイルス定義ファイル」や「DATファイル」などと,ベンダーによって呼び名が異なる)を用いて,ウイルス対策ソフトでチェックすることを勧めている。具体的な兆候としては,(1)あて先不明のメール(差出人が「MAILER-DAEMON」のメール)を多数受信する,(2)ダイヤルアップ接続の場合,何度も勝手にインターネットに接続しようとする,(3)メールの送受信に異常に時間がかかる,(4)アプリケーションが頻繁に強制終了する---を挙げている。

 ただし,最新のパターンファイルで検出されないからといって安心してはいけない。出現したばかりのウイルスには,最新であっても対応していない場合がある。明らかに異常を感じる場合には,パソコンの電源を落としたり,ネットワーク接続を外したりして,万全を期したほうがよい。

 実際,Myparty ウイルスがまん延し始めたときには,最新のパターンファイルでも検出できなかった。そのため,メールに添付されたウイルス・ファイルである「www.myparty.yahoo.com」を実行してしまい,感染被害に遭ったユーザーが後を絶たなかった。ウイルス対策ソフトの使用は不可欠だが,過信してはいけない。

◎参考資料
コンピュータウイルスの届出状況について[要旨]
1月のウイルス届出状況の詳細

(勝村 幸博=IT Pro)