経済産業省(経産省)は1月10日,ユーザーの許可を得ずに一方的に送られてくる広告メール(いわゆる「迷惑メール」あるいは「スパム・メール」)問題に対応するために,「特定商取引に関する法律施行規則」の一部を改正する省令を公布した。2月1日から施行される。

 具体的には,事業者のメール・アドレスを明記するとともに,メールの件名に「!広告!」と明記することを義務付ける。併せて,メール本文にも広告メールであることを明記するとともに,ユーザーがメールの受け取りを希望しない場合の連絡先も明記する。連絡先を明記しない場合には,件名に「!連絡方法無!」と表示しなければならない。

 ただし,ユーザーが送付を求めた場合や,あらかじめユーザーから送付の承諾を得ている場合には,表示する義務はない。

 同省によると,今回の改正により,件名に「!広告!」と表示されたメールを削除することで,送付を承諾していない広告メールを読まされることはなくなり,その文字列で自動的にフィルタリングすることも可能になるという。また,不要な場合の連絡先も明記されるので,今後受け取りを拒否する旨を通知することが可能になる。連絡先がかかれていない場合には,件名に「!連絡方法無!」と表示されるので,「!広告!」の場合と同様にフィルタリングできるとしている。

 表示義務を守らない事業者に対しては,業務停止命令などの行政処分の対象となり,さらに違反を繰り返した場合には,「特定商取引に関する法律」で定められた,懲役や罰金の罰則対象となる。

 同省では,表示義務に違反したメールを受け取ったら,日本産業協会の特定アドレス(meiwaku@nissankyo.jp)に転送するよう呼びかけている。

 しかしながら,今回の改正がどの程度効果があるのかは疑問である。改正前の法律でも,広告メールには事業者の住所と電話番号等を明記することが義務付けられているにもかかわらず,守られていないメールは非常に多い。推測しづらいメール・アドレスに変更したり,適宜フィルタリングなどを設定したりして,自衛するしかないのが現状であろう。

◎参考資料
特定商取引に関する法律施行規則の一部を改正する省令
お知らせ(PDF形式:63KB)
省令の新旧対照表(PDF形式:10KB)
特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年11月24日通商産業省令第89号)
特定商取引に関する法律(昭和51年6月4日法律第57号)

(勝村 幸博=IT Pro編集)