マイクロソフトは11月20日,Windows Media Player のセキュリティ・ホール情報を公開した。 主に説明されているセキュリティ・ホールは,Media Player 6.4 だけが影響を受けるものである。しかしながら,過去に発見されたセキュリティ・ホール(MS00-090MS01-029MS01-042)の“変種”も新たに発見されているようである。

 これについては,Media Player 6.4/7/7.1 および Media Player for Windows XP が影響を受ける。今回のパッチを適用すれば,Media Player 6.4 のセキュリティおよび変種のセキュリティ・ホールに加え,既にパッチが公開されているセキュリティ・ホールについても解消できるとしているが,公開されているのは英語版だけで,日本語版は準備中である。

 Media Player 6.4 だけが影響を受けるセキュリティ・ホールについては,深刻度が“低”であるが,過去に発見されたセキュリティ・ホールおよびその変種を加えれば“高”であるとしている。そのため,対象製品のユーザーは同社のセキュリティ情報サイトをチェックして,パッチが公開され次第すぐに適用する必要がある。

 対象がWindows Media Player 6.4 であるセキュリティ・ホールは,ASF(Advanced Streaming Format)ファイルの取り扱いに問題があるために発生する。ある特定のデータを含むASFファイルを読む込むとバッファ・オーバーフローを引き起こし,データに含まれた任意のコードを実行する恐れがある。ASFファイルを開かない限り影響を受けないので,パッチが公開され適用するまでは,怪しいASFファイルを開かないことが対策となる。

 問題はマイクロソフト自身が発見したという,過去のセキュリティ・ホールの“変種(variants)”についてである。過去に発見されたセキュリティ・ホールと同様に,ある細工が施されたWebページやHTMLメールを,それぞれ閲覧したり開いたりするだけで,攻撃者が仕込んだコードをユーザーのマシン上で実行してしまう恐れがある。

 このセキュリティ・ホールはMedia Player 6.4のあるコンポーネントに存在するが,下位互換のために Media Player 7/7.1 および Media Player for Windows XP にもこのコンポーネントが存在する。そのため,6.4以降のバージョンすべてが対象となる。6.4より古いバージョンについては,サポート対象外でテストをしていないので,影響を受けるかどうか分からない,としている。

 新しく発見されたとする変種のセキュリティ・ホールについては,ほとんど記述されていない。パッチを適用する以外の回避方法についても触れていない。過去のセキュリティ・ホール情報を参考にすると,Outlookを使用している場合は,「Outlook 電子メール セキュリティ アップデート」を適用すれば,HTMLメールを使った攻撃は避けられる可能性がある。

 なお,Outlook 2002 を使用している場合,もしくは「Office 2000 Service Pack 2」を適用している場合には,このセキュリティアップデートを適用する必要はない。

 それ以外については回避方法が明確ではないので,「怪しいWebページを閲覧したり,メールを開いたりしない」といった“当たり前”の対策しかない。しかしながら,HTMLメールの場合にはプレビューするだけで被害を受ける恐れがあるので,あまり実効力はない。

 マイクロソフトからすれば,「パッチを適用すれば回避できるので問題はない」という理由で詳細な情報を記載していないのかもしれないが,現状では英語版パッチ以外は公開されていない。日本語版パッチの早急な公開もさることながら,パッチが公開されるまでの回避方法についても,適切にアナウンスしてもらいたい。

◎参考文献
Windows Media Player の .ASF ファイル処理に、未チェックのバッファが含まれる (MS01-056)
Windows Media Player .ASF Processor Contains Unchecked Buffer

(勝村 幸博=IT Pro編集)