イー・アクセスは8月9日,同社のADSL回線を利用するISP3社の月額料金の値下げを発表した。Panasonic Hi-HOが2980円,@niftyとDTIが3980円である。新料金は9月から。なお,@niftyとDTIは,新規ユーザーについては3カ月間に限って2980円で提供する。

 また,アッカ・ネットワークスも同日,@nifty向けサービスの値下げを発表。月額料金はイー・アクセスと同じ設定である。

 最大8Mビット/秒で2000円台というYahoo! BBのADSLサービス発表で火がついたADSLサービスの料金競争がいよいよ激化してきた。8月に入ってからは,値下げ発表が相次いでいる。下り1.5Mビット/秒の最高速度の個人向けのADSLサービスは,Yahoo BB!以前の5000円台後半の料金水準から4000円を切る価格設定が普通になった。事業者によっては3000円を切る場合もある。既にADSLを利用しているユーザーにとっては,実績で現状のISPを使いつづけるか,実力は未知数でも料金と速度の可能性を評価してYahoo! BBを使ってみるか,という悩みも出てきそうだ。

国内仕様での8Mビット/秒対応も同時に発表

 さらにイー・アクセスは,8Mビット/秒のサービスを今秋にも提供することを発表した。料金などの詳細は未定であるが,ISPとしてはニフティが対応を表明している。ADSLの方式は,フルレートADSLの国内仕様である「G.dmt Annex C」。ISDNとの干渉に対応した方式である。

 アッカ・ネットワークスに続いてイー・アクセスが今回8Mビット/秒への対応を表明したことで,最大速度の面でも,最大1.5Mビット/秒での実効速度から8Mビット/秒での実効速度へと注目するポイントが移るだろう。ADSL事業者とISP両方のバックボーンの拡充ペースが問われることになる。また今後は,ADSLで過半数のシェアを握るNTT地域会社の8Mビット/秒への対応に注目が集まることになるだろう。

 5000円台で落ち着いたかに見えていた国内のADSLサービスであるが,Yahoo BB!の参入をきっかけに,本格的な競争の段階に入った。@niftyやBIGLOBEが3980円,事業者によっては2980円,あるいはその中間の料金設定など,各社のコスト構造や“ブランドによる強気の度合い”なども見え始めている。Yahoo BB!は,サービス提供が当初の計画よりも遅れている。しかし,他の事業者が打ち出す新料金は,「事務手続きの遅れはあれど,サービスと料金の面では脅威には間違いない」という思いの表れである。

 ADSL以前のISP料金は,使い放題のダイヤルアップ・コースが2000円程度であった。一般には,64kビット/秒が最大速度であった。ところがADSLでは,3000円台の料金をISPとADSL事業者で分け合わなければならない。しかも,ユーザーあたりの帯域は10倍以上である。バックボーンの帯域は,WDM機器などで以前よりは容易に増強できるようになっているとはいえ,大手ISPでなければ競争に追随できないような状況になりつつあるのは確かだろう。

 今までの国内の通信サービスでは見られなかった程の競争の激しさは,ユーザーにとっては歓迎すべきものである。

(田邊 俊雅=IT Pro副編集長)

◎参考資料
イー・アクセス,8Mビット/秒のADSLサービスを今秋にも。ニフティが対応を表明
Panasonic Hi-HOの「まとめてADSLコース」 月額基本料金を2,980円へ値下げ
@niftyのADSL接続サービス月額料金を3,980円へ値下げ、初期費用も値下げ
DTIの「ADSL-Eプラン」月額料金を3,980円に値下げ

イー・アクセスのADSL回線を利用するISPの料金一覧

・8月8日以前のイー・アクセスの値下げの情報
JustNetの「コミとくADSLコース」月額料金を3,580円へ値下げ
Highway InternetのADSL「eAccessコース」月額料金を2,950円へ値下げ
BIGLOBEの「使いほーだいADSLe」コース月額料金を3,980円へ値下げ

・アッカ・ネットワークスに関する値下げなどの情報
アッカ・ネットワークス「OCN ADSLアクセス ACCAプラン」を月額3980円に値下げ
アッカのADSLに8Mbpsサービスが新登場,So-netからスタート