トレンドマイクロは7月16日,Microsoft Exchange Server,Small Business Serverおよび Microsoft Outlookユーザー向けのウイルス対策サイト「ウイルス インフォメーション ポータルサイト」をマイクロソフトと共同で開設した。最新のウイルス情報をはじめ,Exchange Server および Outlook 用のウイルス・チェック・サービスやツールを無償で提供する。

 Exchange Server については,「On-Line Scan for Microsoft Exchange」を用意した。ユーザーはまず,トレンドマイクロのサイトからActiveXコントロールをダウンロードする。そのActiveXコントロールは,Exchange Server上のすべてのメールボックスをスキャンし,添付ファイルにウイルスが含まれていないかどうかをチェックする。ウイルスが感染しているファイルを見つけると削除する。ウイルスだけをファイルから取り除く,いわゆる「駆除」の機能はない。このときユーザーは,Administrator権限のあるIDでログオンしている必要がある。

 なお,このサービスはトレンドマイクロのサポート対象外なので,同社ではスキャンの前にバックアップをとることを推奨している。また,Exchange 2000には対応していない。

 Outlookのウイルス・チェックには,「InterScan for Outlook」を提供する。無償でダウンロードできる同ツールで,Exchange Server上の自分のメールボックスと,ローカルの個人用フォルダ内のウイルスをチェックできる。最新のパターン・ファイルと検索エンジンも無償で更新可能。

 ただし,このツールもテクニカル・サポートの対象外。そのため,技術的な内容について問い合わせることはできない。製品に関する一般的な質問については電子メールで受け付ける。

 さらに,ユーザーのコンピュータ内にウイルス・ファイルがないかどうかを調べる「ウイルスバスターOn-Line Scan」も提供する。「On-Line Scan for Microsoft Exchange」と同様に,ActiveXコントロールをダウンロードしてスキャンする。ウイルスを検出した場合の処理には「削除」しか選べず「駆除」することはできないこと,およびサポート対象外であることも「On-Line Scan for Microsoft Exchange」と同じである。

 今回のサービスは,ウイルス対策をパッケージ製品という形ではなく,ネットワークを使ったサービスにしたという点で,ユーザーにとっては利用しやすいと言えそうだ。パターン・ファイルを更新する必要がない。ツールが無償であることも評価できるだろう。しかし,技術的なサポートの対象外にしている点については,不満が残る。バックアップを推奨していることと合わせて,ユーザーに二の足を踏ませることにはならないだろうか。有償でもよいから,きちんとしたサポート体制を望むユーザーもいるだろう。

 また,マイクロソフトとの共同作業であるならば,ウイルスだけでなくセキュリティ・ホール対策も望まれる。Outlookなどのセキュリティ・ホール情報やパッチを同サイトで提供することは可能なはずだ。

(勝村 幸博=IT Pro編集)