情報処理振興事業協会(IPA)セキュリティセンターは7月5日,2001年上半期(1月から6月)と2001年6月ウイルス届出状況を公開した。それによると,上半期の届出件数は9569件で,前年同期のおよそ3倍。ウイルス別では「Hybris」が全体の3分の1,「MTX」がおよそ4分の1を占めている。また,7割以上が電子メールの添付ファイルから感染している。

 2001年6月の届出件数は1335件で,そのうち実際に感染被害を受けたのは153件だった。前月から若干減少しているものの,数字に現れるのはあくまでも氷山の一角。そのため,状況が好転しているわけではないと考えたほうがよい。届出が多かったウイルスは,順に「Hybris」(376件),「Magistr」(253件),「MTX」(203件)。相変わらず,「Hybris」と「MTX」が流行している。

 併せて,ワクチン・ソフト(ウイルス対策ソフト)はウイルスを検知するためのもので,感染後にファイルを修復するためのものではないことに注意するよう呼びかけている。修復機能が付いていても,必ずしも元の状態にファイルを修復できるわけではないので,感染してからインストールしても意味がない。

 さらに,最近同センターによく寄せられる相談事例を集めた「よくある5つの相談事例」を公開した。次のような内容をFAQとしてまとめてある。

(1)送信者名や件名などが空白のメールに添付されているのは「Hybris」である
(2)「MTX」の感染時に破壊されたファイルは,ワクチン・ソフトで修復できない
(3)ウイルスに感染したかどうかを調べるにはワクチン・ソフトを使う
(4)Windowsの「最大化」ボタンなどが化けるのは,ウイルスではなくフォント・ファイルの問題である
(5)ワクチン・ソフトを使っていても,ウイルス定義ファイルが古いと検知できない

 同センターに相談や問い合わせをする際には,まずこのページを読むよう勧めている。

(勝村 幸博=IT Pro編集)