伊藤忠テクノサイエンス(CTC)は,加Nortel Networks製のDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing:高密度波長分割多重)機器「OPTera Metro」シリーズを国内で販売する。2001年2月に日本法人のノーテルネットワークスと販売パートナー契約を結んでおり,サポート体制などを整えたうえで本格的な販売を開始するに至った。

 同製品は,都市圏内の高速バックボーンを構築するための製品。最大32波長を多重可能で,最大伝送容量は約80Gビット/秒。インタフェースは,当面は最大2.4Gビット/秒であるが,年内には10Gビット/秒の製品を用意する予定。また,Fiber Channelなどのサーバーの光インタフェースにも対応し,サーバーやストレージなどの高速な接続の用途にも利用できる。

 価格は,1対向で5000万円程度から。販売先としては,新旧の通信事業者,xSP(各種サービス・プロバイダ),企業,大学など。中でも,ブロードバンド・サービスに対応する通信事業者のバックボーン拡充の用途が中心となる。2002年3月までに約10億円の売上を計画しており,そのうちの約半分が通信事業者向けと見込んでいる。なお,ほとんどの場合,ルーターをはじめ,負荷分散装置やコンテンツ配信システムといった上位レイヤの製品と組み合わせての販売になるという。上記の10億円という販売目標は,DWDMだけの金額である。

 高速の光ネットワーキング製品は,CTCの取り扱う製品分野の中でこれまで欠けていた分野。光ファイバそのものを貸し出すダークファイバの提供が進みつつあること,CATVやADSLなどのブロードバンド・サービスの普及,高速大容量ネットワークを必要とするデータセンターの登場といった背景から,ルーターよりも低いレイヤで高速な光ネットワークを構築できる製品の提供に迫られていた。「IPインフラの下位から上位まで,すべてのレイヤに対応できるようになった」(CTCの丸田 淳一・ネットワークソリューション推進第2部 部長)。

 実際の適用分野の例としては,ADSLサービス事業者のネットワークが挙げられる。ADSLサービスでは,ユーザーを収容する電話局と自社のバックボーンの間を高速に結ぶ必要がある。この部分は,ユーザーの増加とともにボトルネックになりやすいところ。これまでは,ATMメガリンクなどのサービスを利用するケースが多かったが,これをコストの安いダークファイバに移行させつつある。その際に,必要になるのがDWDM装置である。DWDMを使えば,光ファイバはそのままで,ユーザー数に応じて回線容量を拡充しやすいというメリットがある。

(田邊 俊雅=IT Pro副編集長)