米国ラスベガスで開催中の展示会「NetWorld+Interop 2001 Las Vegas」で,米インターネットシェアがIPv6対応の小型ルーター「All Aboard! Advanced Edge Router」(AER,写真)を出展した。
10/100Mビット/秒のLANインタフェースを二つ備えるローカル・ルーター。片側をLANに,もう片側をADSLモデムやケーブル・モデムとつなぐ場面での利用が一般的となる。同社は99年に設立されたネットワーク機器ベンダー。All Aboard!とは「発車オーライ」という意味である。
AERの特徴は,IPv4ネットとIPv6ネットを相互接続するトランスレータ機能も搭載したこと。これを拠点ごとに設置すれば,拠点をすべてIPv6にした場合に既存のIPv4インターネットを拠点を結ぶ中継網として使えるようになる。その逆に,拠点はIPv4のままとし,中継網をIPv6網にすることも可能である。
IPv4からIPv6へ,あるいはIPv6からIPv4へ変換する技術は「トランスレータ」と呼ばれる。その実現手法のいくつは,インターネット技術の標準化を進めるIETFで議論されている。AERが採用したのは,NAT-PTおよびSIITと呼ぶ方式。NAT-PTはDNSサーバーを活用した方式で,SIITはICMPを活用した方式である。
IPv6に対応した小型ルーターの開発は国内ベンダーも積極的に取り組んでいるが,トランスレータ機能を内蔵した製品はまだ発表されていない。富士通が5月に出荷したばかりのSi-Rシリーズや,ヤマハが試験的にIPv6対応版OSを配布しているRTシリーズは,IPv6パケットをIPv4ネット上で転送するトンネリング機能は搭載するもののトランスレータ機能は未搭載。米国ベンダーに先を越された格好になる。
インターネットシェアは1~2カ月以内に製品の出荷を開始する予定。同社は,ルーターOSのソース・コードをOEM提供する計画も持つという。