Linuxパッケージを販売するレッドハット,京都のソフトウエア開発会社アックス,LinuxとJavaのSIを手がけるテンアートニの3社は,アックスが開発中の携帯Linux機器向けGUI環境「式神(しきがみ)」について,開発から販売まで広範囲な協力体制を敷くことで合意した。

 アックスは,シャープの「Zaurus」のOSやZaurus上で動作するLinux環境などを開発してきた経験を持つ。同社は,ハンドヘルドPCやPDA(携帯情報端末)のような機器が広く浸透してきたことから,小型機器専用にLinuxで動作するGUI環境「式神」の開発を進めてきた。既に開発コミュニティも活動しており,今回の提携による知名度の向上とコミュニティの活性化を期待する。

 またテンアートニは,Linux とJavaの組込用途での活用を推進するEmbedded Systems推進室を2000年4月に設立して以来,この分野への取り組みを強化している段階にある。今後,式神を自社ソリューションとして展開することを目指している。開発コミュニティにも自社エンジニアが参加,開発を積極的にサポートする。同社は,今後登場してくる組込機器に向けた式神の提供やインテグレーションをこの事業の中心に位置付けている。

 さらに3社は,セミナー,展示会などのプロモーション活動を通じて,開発や適用機器の拡大などを共同で進めて行く考えだ。

 「式神」は,通常のデスクトップ機器とは違った携帯機器の使用形態に合わせて設計されたGUI環境。ユーザーの操作を容易にする単純化されたデスクトップ・インタフェースが特徴だという。スタイラスペンなどで書いた文字を98%程度の高精度で認識できる手書き文字認識システム「布目(ぬのめ)」が搭載されているなど,Linuxに不足していると指摘される携帯機器向けの日本語環境も強化してある。

 また式神では,GNOME APIに準拠したAPIを用意してあり,それらがオープンソースとしてすべて公開されている。これにより,誰でも式神上で実行可能なアプリケーションを自由に開発できる。当面のターゲットとして想定されているのは,ハンドヘルドPCとPDAであるが,他の組込機器への適用も視野に入れて開発が進んでいるという。式神の詳細な内容については,http://www.sikigami.com/を参照のこと。ソースコードの公開も同サイトで4月から行う予定。

・アックスのWebサイト(http://www.axe-inc.co.jp
・テンアートニのWebサイト(http://www.10art-ni.co.jp
・レッドハットのWebサイト(http://www.jp.redhat.com

関連記事:アックス,ザウルス上で動くLinux「zxLinux」をリリース(日経Linuxサイト,2000.3.23)