2000年12月7日,コンピュータ・ウイルスの届け出先機関である,「情報処理振興事業協会(IPA)セキュリティセンター」は,11月の届け出状況を発表した。同センターによると,ウイルスの発見届け出件数は2203件で,そのうち実際に被害を受けたのは546件。いずれも過去最悪である。同センターでは,メールの添付ファイルを安易に開かないよう,改めて注意を呼びかけている。

 IPAセキュリティセンターの報告によると,11月中の届け出件数は2203件を数え,それまで過去最悪であった2000年10月の906件を大きく上回った。また,実際の被害件数も,過去最悪であった99年3月の339件を上回った。

 最悪となった原因は「MTXウイルス」の流行である。同ウイルスの届け出件数は894件。これは,2000年5月に世界中で被害をもたらした「LOVELETTER」の346件を上回り,ウイルスごとの月間件数として,過去最悪となった。また,届け出件数の4割にあたる356件では,実際に被害を受けている。

 MTXウイルスについては,IPAセキュリティ・センターをはじめ,アンチウイルス・ベンダー各社も再三注意を呼びかけているが,一向に被害が収まらない([関連記事])。同センターは,「添付ファイルを習慣的に開くユーザーが被害にあっている。メールの添付ファイルは,開いて良いかを常に疑うことが重要である」と,強く警告している。

 IPAへの届け出件数は,2000年8月から増加の一途をたどっている。しかも,これらはあくまでも,氷山の一角であり,実際の被害件数は計りしれない。また,毎年クリスマス・シーズン近くになると,あいさつメールに乗じる,新種のウイルスが登場しており,今年も登場する可能性は高い。MTXウイルスに限らず,すべてのウイルスに対して,細心の注意を払う必要がある。

(勝村 幸博=IT Pro編集)

[IPAセキュリティセンターの公開情報]

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