公正取引委員会は、このほどNTTおよびNTTグループ会社に対して独占禁止法違反の疑いで調査を開始した。調査対象としているのはDSL事業に関する問題。DSL事業を開始しようとする通信接続業者の新規参入行為を妨害した疑いがあるというもの。公取委は、NTTグループの行為を独禁法の「私的独占」に抵触する可能性があるとして調査に踏み切った。

 この問題で、NTT東日本広報室では、「公正取引委員会より調査依頼があり、当社として任意に調査に協力している。公取委が調査している事項については、当社としてコメントする立場にない。しかし、当社としては、DSL対象エリアの拡大などについては最終答申を待たずに先行実施するなど、(むしろ)郵政省の“高速デジタルアクセス技術に関する研究会”に先駆けて、実現してきたと考えている」としている。

 なお公取委は「現在、調査を始めたばかりの段階なので、調査対象会社や調査ポイントなど詳しい内容を公表できる段階にない」(管理企画課)とコメントしている。

 公取委は今年6月にも、同委員会の「政府規制等と競争政策に関する研究会」で、「NTTの持ち株会社方式による再編は競争促進効果が不十分」などとする報告書「電気通信事業分野における競争政策上の課題」を発表している。この時の報告書でも、NTT市内網と他事業者が接続する際の透明性の確保(NTT東西地域会社の接続会計に関する経営情報開示など)、加入者回線網での競争基盤整備(ケーブルテレビなど新たな技術・方法によるネットワーク構築の支援)などを求めていた。

(田中 一実、木村 亮=BizTech)


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