このプロジェクトは,JASRACのほか,著作権管理団体の国際組織である著作権協会国際連合(CISAC),録音権協会国際事務局(BIEM)が共同で主催。実際のテストは,JASRACが野村総合研究所(本社:東京都千代田区)に委託し実施した。
これによると,認定企業は,米IBM,韓国MarkAny,日本ビクター,英Signum,米BlueSpikeの5社。このうち,米IBM以外の4社については,「もう一段のチューニング・バランスの向上が求められる」などの補足意見がそれぞれ付記された。今回のプロジェクトへの参加企業数は10数社としている。
今回の評価テストは,電子透かしデータとして,音楽データにコピー管理情報(CCI)を15秒以内のタイムフレームに2ビット,著作権管理情報(CMI)を30秒以内のタイムフレームに72ビット挿入したうえで,耐性と音質の両面を評価するというもの。
耐性テストについては,D/A,A/D変換やダウンサンプリング,データ圧縮などの処理を経ても挿入した透かしデータを抽出できるかどうかをテストした。音質テストは,音楽業界で音質評価能力に優れている業界関係者計16人に実際に試聴してもらい,「電子透かし」の挿入の有無を聞き分けられるかどうかテストしたという。楽曲の種類は,ポップス,クラシックのほか,特殊音響曲として日本の伝統音楽やパーカッション曲などを用いた。
JASRACでは,圧縮率の高いもので,特に「RealAudio」に対する耐性結果は,総じて芳しくなかったとする一方で,「電子透かしの技術水準は,研究段階から実際の利用段階へ入ったことがうかがえる」と総括。今後も同様の評価テストをあと1,2回は実施し,各著作権団体と情報を共有していきたいとしている。
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