日本音楽著作権協会(JASRAC)は2000年10月6日,音楽についての「電子透かし」技術の評価・認定プロジェクト「STEP2000」が完了し,「デジタル音楽流通に関わる事業者への利用の推奨が可能な技術を保有する企業」として5社を認定したと発表した。

 このプロジェクトは,JASRACのほか,著作権管理団体の国際組織である著作権協会国際連合(CISAC),録音権協会国際事務局(BIEM)が共同で主催。実際のテストは,JASRACが野村総合研究所(本社:東京都千代田区)に委託し実施した。

 これによると,認定企業は,米IBM,韓国MarkAny,日本ビクター,英Signum,米BlueSpikeの5社。このうち,米IBM以外の4社については,「もう一段のチューニング・バランスの向上が求められる」などの補足意見がそれぞれ付記された。今回のプロジェクトへの参加企業数は10数社としている。

 今回の評価テストは,電子透かしデータとして,音楽データにコピー管理情報(CCI)を15秒以内のタイムフレームに2ビット,著作権管理情報(CMI)を30秒以内のタイムフレームに72ビット挿入したうえで,耐性と音質の両面を評価するというもの。

 耐性テストについては,D/A,A/D変換やダウンサンプリング,データ圧縮などの処理を経ても挿入した透かしデータを抽出できるかどうかをテストした。音質テストは,音楽業界で音質評価能力に優れている業界関係者計16人に実際に試聴してもらい,「電子透かし」の挿入の有無を聞き分けられるかどうかテストしたという。楽曲の種類は,ポップス,クラシックのほか,特殊音響曲として日本の伝統音楽やパーカッション曲などを用いた。

 JASRACでは,圧縮率の高いもので,特に「RealAudio」に対する耐性結果は,総じて芳しくなかったとする一方で,「電子透かしの技術水準は,研究段階から実際の利用段階へ入ったことがうかがえる」と総括。今後も同様の評価テストをあと1,2回は実施し,各著作権団体と情報を共有していきたいとしている。

(木村 亮=ニュース編集部)


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