米Red HatやドイツのSuSE Linux AG,米CodeSourcery LLCなどのLinuxベンダが米国時間8月15日に,米Advanced Micro Devices(AMD)の64ビット・アーキテクチャ「x86-64」に対応したソフトウエア開発を行うと発表した。AMD社を含む各社が,サンノゼで開催中のLinuxWorldなどで明らかにしたもの。

 x86-64は,x86命令セットを64ビットに拡張するアーキテクチャで,既存のx86命令とのバイナリ・レベルでの互換性を維持する。アドレス空間の64ビット化や汎用レジスタの64ビット化を行う。がらりとアーキテクチャを変更した米IntelのIA-64とは違い,16/32ビットのx86アーキテクチャの延長線と位置づけられる。

 ちなみにAMD社は8月9日に,プログラマ向けの「x86-64 Architecture Programmers Overview」を明らかにしている。x86-64に準拠したマイクロプロセサの登場は2001年末になる見込み。チップの開発コード名は「Hammer」である(これまでAMD社はSledgeHammerと呼んでいたが,なぜか今回の発表からHammerに変わった)。Hammerは「Lightning Data Transport」と呼ぶLSI間をつなぐバスをもつ。データ転送速度は6.4Gバイト/秒である。

 SuSE社は,Linuxコミュニティのx86-64へのポーティング作業を支援するとともに,最初の開発ツール(gcc/binutils)の準備が整っていることを明らかにした。System VのABI(application binary interface)のドラフト版も完成しているという。ドラフト版の作成には,SuSE社やCodeSourcery社の技術者が参加した。Red Hat社は,x86-64向けのLinuxディストリビューションを開発すると発表した。

 このほかAMD社は,開発者向けのシミュレータを9月にもリリースすることも明らかにした。x86-64のWWWサイトで無料でダウンロード可能にする。BIOSベンダやOSベンダ,開発ツール・ベンダ,アプリケーション・ソフトウエア・ベンダの開発者に向ける。

 なおIA-64へのLinuxポーティング・プロジェクトには,Trillian Projectがある。Trillian Projectは,IA-64へのLinuxのポーティグを目的に,1999年はじめに始まったプロジェクト。現在,米Caldera, CERN, 米Hewlett-Packard, 米IBM, Intel, 米Red Hat (Cygnus), 米SGI,独SuSE, TurboLinux,米VA Linux Systemsが参加している。

 Trillian Projectは,IA-64対応のソース・コードをオープン・ソース・コミュニティに対してリリースしたことを米国時間2月2日に明らかにしている。詳細は「Trillian ProjectがIA-64にLinuxをポーティング,ソース・コードを公開」を参照されたい。

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[www.amd.comに掲載の発表資料]
[www.redhat.comに掲載の発表資料]
[www.suse.comに掲載の発表資料]