4月2日,米Sun Microsystemsと米Microsoftは,両社間のすべての裁判について和解し,さらに今後10年に渡って技術提携するとの契約を結んだ。米サンフランシスコで行われた記者会見でSunのScott McNealy会長兼CEOと,MicrosoftのCEOであるSteve Ballmerが出席し,発表した。

 両社は長年に渡り激しい舌戦を繰り広げてきた。特に1997年以降は,Javaライセンス契約違反,独禁法違反に関する裁判を戦ってきた。今回の和解と提携は,両社の間の裁判をすべて終結させ,しかも技術分野で協力関係を築くとの内容だ。

 SunがMicrosoftを法的に攻撃することは今後はない。また,両社のサーバー製品の間の技術交流が進み,将来的には両社のサーバー・ソフトウエア間の接続性や,Java技術と.NET技術の相互接続性が向上すると期待される。

裁判をすべて終結,サーバー分野で技術協力

 MicrosoftがSunに和解金を支払うことで,すべての裁判を決着させる。金額は,独禁法違反の問題に7億ドル,特許問題で9億ドル。また,Microsoftは3億5000万ドルを,技術利用に関するロイヤルティとして支払う。SunはMicrosoftから一挙に19億5000万ドルを受け取ることになる。Sunは,自社サーバー製品にMicrosoftの技術を組み込んだ時点でロイヤルティを支払う。

 両社の技術提携の内容は次のようになる。

●技術協力
「サーバー製品」分野で協力する。Windows ServerとWindows Clientから開始するが,eメールやデータベースなどの領域にも広げる。「例えば,大規模ネットワークでの認証機能を実現するさい,Active DirectoryとSun Java System Identity Server(Liberty Alliance仕様をサポートする)の情報を共有できるようになる」としている。
●Microsoft Communications Protocol Program
Sunは,Windowsの通信プロトコルをライセンスすることで合意した。これは,米司法省と18の州との裁判の結果として成立したMicrosoft Communications Protocol Programに基づくもの。
●MicrosoftはJavaサポートを継続
Microsoft Java Virtual Machineはサポート打ち切りが予定されていたが,これを継続する(仕様を「Sun純正」にするかどうかは触れていない)。
●SunのサーバーでのWindows動作認定
SunのXeon搭載サーバーでのWindowsの動作認定を済ませた。Opteron搭載サーバーでの認定も進行中。
●Javaと.NETの連携
Java技術と.NET技術の連携で両社は協力する。
●特許と知的所有権。特許や知的所有権に関して訴訟を起こさないとの契約を結んだ。
●法的な和解。両社間の米国における訴訟を終結させる。

数カ月前から交渉

 記者会見で,McNearly氏は「午前4時15分まで」交渉を続けていたといい,ギリギリまで合意内容について議論していたことが分かる。

 ただし,急に決まった話ではないようだ。「C#とJavaをマージするのか?」と質問した記者に対して,McNealy氏は「その計画はない。.NET FrameworkとJava Web Servicesアーキテクチャをマージする計画もない」としたうえで「(Microsoftの)Bill Gatesと(SunのCTO)Greg Papadopoulosは,ここ数カ月に渡り,2つのアーキテクチャの相互接続性と互換性に関して議論してきた」と打ち明けた。両社の提携については,かなり以前から交渉があったということになる。

Sunの社長兼COOにJonathan Schwartz氏が就任,3300人の人員削減も発表

 同じ4月2日,SunはMicrosoftとの合意の他に2件の発表を行った。1件は,Jonathan Schwartz氏が社長兼COOに就任するというもの。SunのCOOは,Ed Zander氏の退社後は空席のままになっていた。Jonathan Schwartz氏は,現在はソフトウエア部門担当上級副社長で,Java技術を含むソフトウエア全体を統括している。同氏の後任は近日中に発表の予定としている。

 もう1件の発表は,四半期の業績見通しと3300人の人員削減である。Sunの3/28までの第3四半期の売り上げは26億5000万ドル。収支は7億5000万ドルから8億1000万ドルの赤字を見込んでいる。

(星 暁雄=日経BP Javaプロジェクト)