ウイルス対策についてのアンケートに対して,たくさんのご回答をいただき誠にありがとうございました。ご回答をお寄せいただいた方々は合計293人。ITプロフェッショナルの皆さんからの回答だけに,日常的なセキュリティ意識の高さがうかがわれるアンケート結果となりました。

 では,各設問に対する回答結果を示します。


Q-01.ご自分のパソコンがウイルスの被害に遭ったことがありますか?
ある 20%
ない 33%
受信はしたが食い止めた 47%

Q-02.ウイルスチェック・ソフトを導入していますか?
導入している 90%
導入していない 10%

Q-03.導入している場合,定義ファイル(パターン・ファイル)はこまめに更新していますか?
更新している 90%
更新していない 10%

Q-04.電子メールの添付ファイルを開く際にウイルスでないかを確認していますか?
確認している 81%
確認していない 19%

Q-05.パッチやサービスパックなどのセキュリティ対策ソフトを適用していますか?
適用している 83%
適用していない 17%

Q-06.電子メール・ソフトやブラウザのセキュリティ設定を自分で指定したことがありますか?
設定したことがある 92%
設定したことはない 8%

Q-07.普段お使いの電子メール・ソフトは何ですか?
Outlook(Expressなどを含む) 139人
Becky! 44人
Netscape 17人
Notes 14人
AL-Mail 13人
Eudora 12人
電信八号 7人

注)5人以上の方がご利用になっているものだけを掲載。同一製品の異なるバージョンを含む。

Q-08.情報処理振興事業協会(IPA)を知っていますか?
知っている 87%
知らなかった 13%

Q-09.同協会のWebサイトでウイルス対策などの情報を閲覧したことがありますか?
ある 68%
ない 32%

Q-10.同協会がウイルスの届け出先機関であることを知っていますか?
知っている 78%
知らなかった 22%

Q-11.ウイルスを受け取った際,あるいは実際に感染した際に,同協会に届け出たことがありますか?
届け出たことがある 5%
届け出たことはない 95%

Q-13.複数のISPがウイルス・チェック・サービスを提供していることを知っていますか?
知っている 78%
知らなかった 22%

Q-14.このサービスの利用したいと思いますか?
もう利用している/自分のISPが提供すれば利用したい 26%
利用する予定 16%
利用するつもりはない 58%

Q-15.「利用するつもりはない」という場合,それはなぜですか?
料金が高い 40%
効果が疑問 53%
ウイルス対策など必要ない 7%

 このように,ほとんどの方が,(1)ウイルス対策ソフトを導入し,(2)定義ファイルをこまめに更新し,(3)添付ファイルの開封には注意を払い,(4)パッチなどを適用し,(5)ブラウザやメーラーのセキュリティ設定を自分で指定している---という結果になりました。そのためでしょうか,ウイルスを受信しても発見して食い止めたという方が最も多い結果になりました。

 ITプロフェッショナルではない一般の個人ユーザーの場合には,これほどの高い意識を持ってインターネットを利用しているユーザーの割合は,もっと低くなると思われます。ウイルスの蔓延(まんえん)も無理からぬところと言えそうです。

 もう一つの問題は,自分のパソコンにウイルスが侵入しているのかどうかを正しく把握できるか,ということだと思います。例えばSircamのように,メーラーのあて先アドレスを使って,メーラーには送信履歴を残さずにメールを撒き散らすようなウイルスがあります。知らないうちにメールを撒き散らされてしまい,そのメールの受信者からのクレームで初めて気付くようでは遅すぎます。最新の定義ファイルを使って,定期的にパソコン内をスキャンすることは,最低限の対策だと言えそうです。

 お使いになっている電子メール・ソフトでは,やはりマイクロソフトのOutlookが圧倒的な多数を占めました。マイクロソフト製品に起因するセキュリティ・ホールも数多く報告されていますが,これだけ“シェア”が高いのでは,すべてのユーザーにセキュアな利用を徹底することはかなり難しいのだと思います。同社の製品を利用すべきでない,という声も多いものですが,ITプロフェッショナルの皆さんの間でさえ,これだけの利用実績があることを考えると,現実的な解決策を探るべきではないかと思います。

 ウイルス被害の報告先である情報処理振興事業協会(IPA)の知名度は,そこそこというところでしょうか。ただし,同協会の存在自体はご存知であっても,ウイルス対策の情報を公開していたり,ウイルス被害を報告するべき機関であることについては,意外に浸透していないという結果ではないでしょうか。IPAの役割が時代によって変遷してきていることも一因だとは思いますが,もっと存在感があっても良いのではないでしょうか。

 なお,ほとんどの方がウイルス被害に遭ってもそれをIPAには報告しない,と回答しています。これも,一般ユーザーならなおさら報告するケースは少ないでしょう。IPAが公表するウイルス被害状況のデータが,まさに“氷山の一角”に過ぎないことを端的に示しているといえるでしょう。

 プロバイダのウイルス・チェック・サービスについては,日頃からご自身が高いセキュリティを実現しようと努力されている方が多いだけに,サービスは必要ないというケースが多いように見受けられました。もっとも,インターネットの初心者などに関しては,デフォルトでサービスが提供されるくらいでも良いのではないかと思います。

 なお,自由記入でのコメントは,別記事として明日以降に公開の予定です。参考になるコメントが多々あると思います。こちらも,ぜひお読みください。

(田邊 俊雅=IT Pro副編集長)


ご回答いただいた方々の職種
経営者 3%
SE 29%
プログラマ 6%
コンサルタント 1%
研究・開発 11%
企画・マーケティング 9%
営業 7%
その他 34%

ご回答いただいた方々の業種
ユーザー企業 28%
システム・インテグレータ 16%
ソフトハウス 10%
ハード/ソフトのメーカー/ベンダー 10%
通信事業者 5%
その他 31%