IT Japan 2016レポート

 日経BP社では、「デジタル経営革新の幕開け」を統一テーマに、IT Japan 2016を2016年7月6日(水)~8日(金)の3日間、品川プリンスホテルで開催した。

 このIT Japan 2016の講演を採録。企業のトップやCIO、国内外の主要IT企業のトップが、経営とITについて語った。
(→開催概要はこちら

IT Japan 2016レポート

祖業からの撤退を経て目指すデジタルカンパニーへの変革
トランスフォーメーションで持続的な成長を目指す---コニカミノルタ 代表執行役社長 山名 昌衛 氏
 カラーフィルムの世界市場は2000年にピークを迎えた。その5年前にデジタルカメラが登場、ピークから5年後に市場規模は半減した。次のデジタルカメラ市場は2010年にピークを迎えた。その3年前に世界初のスマートフォンが発売され、3年後の2013年には市場が半減していた。このようにイノベーションによって事業は短命化し、デジタルディスラプションによって様々な業界が根本的な変革を迫られている。

人・モノ・情報をつないで、顧客のデジタル革新を加速する
デジタル革命による新たな価値創造をめざして~デジタルを味方につけ、変化の波を乗り切るために必要なこと~---富士通 執行役員専務 デジタルサービス部門長(兼) CTO 香川 進吾 氏
 社会やビジネスの中核プロセスにデジタル技術が入り込み、大きな革新がもたらされる。そんなデジタル革新が、世の中の至る所で進行している。今押し寄せている大きな波はIoT(モノのインターネット)であり、AI(人工知能)とロボティクスである。例えば、IoTで集めたデータをAIなどで分析し、実世界にフィードバックする。このようなサイクルを自動化することで、実世界を改善できる。

「顧客の時代」に勝ち抜くための攻めのIT投資を考える
顧客の時代へ─The Age of the Customer---セールスフォース・ドットコム 取締役社長 兼 COO 川原 均 氏
 周囲を見渡せば、新技術が可能にした新しい製品、サービスを数多く見つけられる。その背景にあるのは、顧客による革命ともいうべき変化だ。私たちは「顧客の時代」に足を踏み入れている。

スパコンとAIを持っているかどうかで先進国と途上国が再定義される
人工知能による新産業革命と、次世代スパコンによる社会的特異点の創出に向けて---PEZY Computing 代表取締役社長 齊藤 元章 氏
 スーパーコンピュータとAI(人工知能)という2つの技術による社会の変化は第4次産業革命という生やさしいものではない。全く新しい「新産業革命」だと考えたほうがよい。18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命は、蒸気機関によって先進国と途上国を峻別した。新産業革命ではスパコンとAIを持っているかどうかで先進国と途上国が再定義されるだろう。

デジタイゼーションが急速に進展 企業、都市、国家の変革が加速
いまこそ求められる企業と国のデジタイゼーション戦略---シスコシステムズ 代表執行役員社長 鈴木 みゆき 氏
 デジタイゼーションが急速に進んでいる。それを加速するのがITの進化とイノベーションの推進力という2つの波だ。

セキュリティリスクは経営リスクに 経営者は先頭に立ち対策の見直しを
経営層は今、何を知るべきか~今さら聞けない、企業の情報資産を守るセキュリティ対策の要所~---トレンドマイクロ 取締役副社長 大三川 彰彦 氏
 デジタルイノベーションの重要性が叫ばれているが、サイバー攻撃を仕掛ける攻撃側もデジタルイノベーションを繰り返している。トレンドマイクロの調査では、毎日50万という新たな脅威が登場し、その約95%は1つのデバイスでしか発見できない。

デジタル変革を推進する成功のサイクル確立を
デジタル時代を勝ち抜くビジネスプラットフォーム---EMCジャパン 代表取締役社長 大塚 俊彦 氏
 「次の産業革命」に向けて技術革新が急速な勢いで進行している。今から14年後の2030年に、ヒトゲノムの解析時間は現在の38時間が94秒に短縮、現時点では少なくとも2日間を要するといわれる米連邦議会図書館にあるすべてのデータのダウンロードはわずか3分で終わるといわれる。

デジタル化の波が押し寄せる日本のIT企業 カギ握るソフト開発とエコシステム形成
デジタル化で変わるITビジネス---野村総合研究所 理事 楠 真 氏
 これからの企業経営を語るうえで、デジタル化は避けて通れない。Webブラウザーの草分け的存在といえるNCSAMosaicの開発に携わったマーク・アンドリーセンは、最近、「ソフトウエアが世界を食べている」と雑誌で発言していたが、これはデジタル化の本質を的確にとらえている。

常に戦う集団でなければ優勝は狙えない 勝てるチームの礎を築いてくれた1期生
箱根駅伝連覇を達成したハッピー大作戦の舞台裏---青山学院大学 陸上競技部 監督 原 晋 氏
 青山学院大学は2015年の初優勝に続き、今年の第92回箱根駅伝でも優勝し、2連覇を達成した。陸上競技部の創部は1918年。歴史は古く、過去21回出場しているが、箱根駅伝予選会で28年間も惨敗が続き、成績が低迷した時期があった。私はその再建を託され、2004年に監督に就任した。

IoTとAIを活用することで警備の自動化・高度化を進めていく
ICTを活用した安全・安心サービスの展開---ALSOK 代表取締役社長 青山 幸恭 氏
 我が国の刑法犯認知件数は、2002年をピークに減少に転じ、2015年には戦後最低を記録した。防犯カメラや防犯パトロールなどによる抑止力の効果が表れた結果だ。

あらゆる産業で「xTech」が起こる 急速な経営環境の変化に備えよ
進化し続けるデジタル社会への適応---NTTデータ 代表取締役社長 岩本 敏男 氏
 「2045年」。この頃に何が起きるといわれているかご存じだろうか。AI(人工知能)が人間の能力を超えるシンギュラリティー(技術的特異点)の年だといわれている。これは、レイ・カーツワイル氏が2005年の著作『The Singularity IsNear』で述べたことが基になっている。

IoTの進展によって新たな競争が始まる 業界の境界線が消滅する可能性も
破壊的テクノロジーと新事業創造─グローバル経営層スタディからの示唆─---日本IBM 執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業 ビジネスコンサルティング リーダー 池田 和明 氏
 IBMは2002年から毎年、経営者へのインタビューから得られた知見をまとめた「グローバル経営層スタディ」を公開している。2016年版では世界の5247人(日本人は576人)の経営者や役員にインタビューを実施した。

強豪、南アフリカに土壇場で逆転 ラグビー日本代表がつかんだ勝利
ラグビー日本代表を変えた心の鍛え方---園田学園女子大学 教授 荒木 香織 氏
 過去7回のラグビーワールドカップ(W杯)で日本代表チームの成績は1勝2分21敗。昨年のW杯で、そのチームが初戦に過去2回の優勝経験がある強豪、南アフリカに劇的な逆転勝利をした。スコットランド戦の勝利は叶わなかったが、サモアと米国からも金星を挙げた。

世代間のコラボレーションは必須に 個人の長所、強みを引き出す組織を
「デジタル化」の本質~来るべき世界における企業と個人のありかたとは---シグマクシス 代表取締役会長 兼 社長 倉重 英樹 氏
 デジタルテクノロジーは言語、文字、印刷と並び、人類にとってエポックメーキングなテクノロジーの進化だ。米国の人工知能研究の世界的権威、レイ・カーツワイル氏は著書「ポスト・ヒューマン誕生」の中で、次に来る出来事として「GNR革命」を挙げる。

現実世界のような光の陰影まで精緻に再現 様々な分野で応用可能なリアルタイム3DCG
デジタルビジネスの驚異と可能性---シリコンスタジオ 代表取締役社長 寺田 健彦 氏
 コンピュータは驚異的な速度で進化を続ける。この25年間で処理速度は50万倍になった。現在、東京からニューヨークまで13時間ほどかかるフライトがわずか0.09秒に短縮されるのと同じだ。今後10年ほどで今より1000倍速くなるといわれている。

オープンイノベーションの時代が到来 ソフトウエアの世界でもOSSが主役に
Future is Open ─今こそ、オープンイノベーションで新たなビジネス創造を---レッドハット 代表取締役社長 望月 弘一 氏
 技術やアイデアを企業の枠を超えて持ち寄り、革新的な商品やビジネスモデルなどを生み出すオープンイノベーションは、ビジネスの変革に欠かせない。米国の非営利団体e-NABLE(イーネイブル)の活動はその一例だ。

知名度が低く人材獲得は困難を極める 海外に目を向けデジタルシフトで克服
デジタルシフトで実現したドラスティックな社内改革─2,000社、150万ユーザーのサービス立ち上げ秘話─---HDE 代表取締役社長 兼 CTO 小椋 一宏 氏
 Office 365やGoogleApps、Salesforceなどのクラウドサービスを業務で利用する企業が増加する一方で、セキュリティが心配という声は根強い。当社のHDEOneは、クラウドサービスへのアクセス制限、デバイス紛失対策、メールの情報漏えい対策などのセキュリティ機能を付加することで、クラウド環境を安全に利用できる。2012年にサービスを開始して以来、ユーザー数は順調に増え、150万人を超えた。

一瞬、一瞬に対し全精力を常に傾けていきたい 人生に影響を与えた“世界の王”と“イチロー選手”
一瞬に生きる---野球日本代表(侍ジャパン)監督 小久保 裕紀 氏
 福岡ソフトバンクホークスでは、たとえ凡打でも選手は一塁まで全力疾走する。ほかの球団にもそのような選手はいるが、どこの球団よりも諦めずにプレーする。勝負にこだわる姿勢が根付いているのは、王貞治さんの功績によるところが大きい。

外部環境に振り回される経営に終止符を打つ 日本が目指すべき道は「クオリティ企業大国」
クオリティ企業の条件:長期利益の源泉を考える---一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授 楠木 建 氏
 洋の東西を問わず、昔も今も経営のゴールは長期利益にある。端的に言えば「稼ぐ力」だ。ユニクロなどを展開するファーストリテイリングの年度方針は5秒で終わるという。「儲ける」。これだけだ。グローバル化で苦戦を強いられる日本企業の経営課題は至ってシンプルだ。稼ぐ力を取り戻すことである。

「シェアする文化」を近代化して社会が抱える課題を解決していきたい
テクノロジーが変革するモビリティ---Uber Japan 執行役員社長 高橋 正巳 氏
 かつて自動車はぜいたく品であり、保有することは社会的な地位を示していた。日本における世帯当たりの自動車保有台数は、1976年に0.5台だったが、96年には1台になり、保有していることが当たり前となった。国土交通省の統計では、2016年の国内の乗用車保有台数はおよそ6000万台となっている。ただし、乗用車に限っていえば、その稼働率は極めて低い。いろいろな調査統計から類推すると、乗用車を運転している時間は、1日にならすと約1時間と見られる。つまり1日のうち96%は稼働していない状態だ。

自社の経験に基づいた技術やノウハウでお客様のデジタルシフトに貢献する
デジタルシフトのかけ算がイノベーションを起こす---日立製作所 ICT事業統括本部 Senior Technology Evangelist 渡邉 友範 氏
 「デジタルシフト」の本質を考えてみたい。会場の皆様にご覧にいれた映像は、人工知能を使って、ロボットがブランコのこぎ方を学習する様子である。全くの白紙の状態から、わずか5分でブランコを高くこげるように学んだのだ。人間とは比べものにならないくらい習熟スピードが速い。デジタルシフトの本質は、「データを活用して短いサイクルで改善を繰り返す」ことにある。

様々な難題を乗り越えて改革を実践“レガシー脱出”を達成する
野村證券、レガシー脱出---野村ホールディングス 参事 Co-CIO 野村證券 経営役 橋本 伊知郎 氏
 野村證券では、ビジネスのコアである証券業務を担う「CUSTOM」と呼ばれるシステムを1980年ごろから運用してきた。同システムはメインフレームをベースに構築されており、約550万の個人口座、約1万の法人口座をその上で管理していた。

「IoH(Internet of Human)」の活用がモノづくりを進化させる
モノづくりを進化させるIoXイノベーション---新日鉄住金ソリューションズ 取締役 副社長執行役員 北村 公一 氏
 現在、「IoT(Internet of Things)」というキーワードがIT業界だけでなく、産業界全体で大きな話題を集めている。ただし、製造現場のモノには必ずヒトが関与する。

人・働き方・ビジネスの変革を推進するデジタルトランスフォーメーション戦略
今まさに、一歩先に出るデジタルトランスフォーメーション~ お客様と共に、社員・オペレーション・ビジネスの変革を推進 ~---日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野 拓也 氏
 米マイクロソフトは今年で創業41年、日本マイクロソフトも30周年を迎えた。この間のITの進化には目を見張るものがある。マイクロソフトといえば「Windowsの会社」という印象が強いが、過去にとらわれず“徹底した変革”の推進にチャレンジしている。

クラウドの課題を乗り越えるデータ爆発時代の新しいインフラとは?
クラウドの先にあるもの~あたらしいコンピューティングのかたち---日本ヒューレット・パッカード代表取締役 社長執行役員 吉田 仁志 氏
 2020年に向けて、世界の景色は大きく変わろうとしている。現在の世界人口は74億人ほどだが、20年には77億人になると予測されている。デバイスの数は1000億個になり、その上で1兆のアプリケーションが動いているといわれる。また、世の中で生成されるデータ量は、20年には40ZB(ゼタバイト、ゼタバイトは2の70乗バイト)に達するという。ZBというと想像を超えた単位だが、地球上に存在する砂の数がほぼ1ZBだそうだ。

古いITがビジネスの足かせに解決策となる クラウドで日本企業を支援
Digital AID by POCO(クラウドのちから:The Power Of Cloud by Oracle)---日本オラクル 取締役 代表執行役 社長 兼 CEO 杉原 博茂 氏
 日本は既に人口減少局面にある。2015年には28.4万人が減少し、高齢化も進行している。労働人口は6000万人割れ目前である。このような条件の中で一定の豊かさを維持するため、ITによる生産性の向上は急務である。

未来の革新的サービス創造に向けてビジネスエコシステムを構築
私たちが守ること、私たちが変えること~日本ユニシスグループの変革の物語~---日本ユニシス 代表取締役社長 平岡 昭良 氏
 日本ユニシスグループの原点は、世界初のコンピュータとされるENIACにある。ENIACを開発したジョン・エッカート博士とジョン・モークリー博士が設立したコンピュータ会社が合併を繰り返して、のちの米ユニシスになるからだ。両博士の時代から今日に至るまで、テクノロジーは着実に進化を遂げてきており、今やデジタルは世界を大きく変えようとしている。なかでも、AI(人工知能)やロボティクスといった技術が果たす役割は極めて大きい。

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