現在、世界40数カ国で人材教育サービスを提供しているウィルソン・ラーニング ワールドワイド。2010年に学習効果を高める支援ツールとして「人材育成ポータルサイト」を提供開始した。

 2015年には利用者数やアクセス負荷の増大といった課題解消を目的に、同サイトの提供基盤をAzureに移行(図1)。2016年12月からは顧客専用環境で提供していたノウハウを標準機能として集約したサービスを含め、新ブランド「Engagement Portal One(EP1)」として展開中だ。

図1 約70万人が使う学習管理システムの基盤をAzureへ移行
図1 約70万人が使う学習管理システムの基盤をAzureへ移行
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 同社サービスは「金融機関や食品メーカーなど大企業を中心に33社が導入し、70万人以上が利用中」(児島研介 取締役執行役員 HPI事業本部 Techデザイングループ長)だ。

 Azureへの移行を担当した小島正義 HPI事業本部 Techデザイングループ EPソリューション 副部長/シニアテクノロジーコンサルタントは「クラウドへの移行によって、利用者や同時アクセス数が増えても迅速に対応できるようになった」と効果を語る。

従来環境での課題が深刻化

 サービス提供基盤のAzure移行を決定したのは2014年7月(図2)。「それまで利用していたホスティングサービスでは、対応が難しい案件が増えてきた」(小島氏、以下同)。

図2 Azure導入の主な経緯
図2 Azure導入の主な経緯
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 例えば2014年に受注したある金融サービス企業の案件は、従来環境では対応しきれないほど大規模だった。「全員が初めからアクティブユーザーではないが、販売代理店も含め約18万人が登録し、徐々にアクティブユーザーを増やしていく意向だった」という。

 当時、同社サービスの導入企業は10数社で、利用ユーザーは数10万人という規模。大規模ユーザーの利用や、アクティブユーザーの増加に柔軟に対応するには「ホスティングサービスではコストやサーバーの調達期間などに課題があった」。

 こうした課題の解消に向けて提供基盤のクラウド移行を決断。Azureを選んだのは「グローバル展開しているパブリッククラウドベンダーの一つで、国内の東西にデータセンターがあり、国内にある金融系の顧客の要望に応えやすかった」からだ。

 以前からWebサービスのリレーショナルデータベースにSQL Serverを採用しており、「ライセンス料やSQL Serverとの親和性、サポート面で有利と考えた」ことも理由の一つである。