靴下製造を手掛ける米田。2005年にベトナムに生産拠点を設け、大手小売企業からの受注を増やすなど成長を続けている。同社は2014年5月末、ベトナム工場の生産管理システムを刷新した。

 新システムはマイクロソフトのデータベースソフト「Microsoft Access」と、リレーショナルデータベースのPaaS(Platformasa Service)である「Azure SQL Database」を中心に構築した。データセンターはAzureの香港リージョンを利用している。

 生産管理システムを刷新した目的は、ベトナム拠点の生産現場の可視化だ(図1)。ベトナム拠点の生産管理システムには、オンプレミス(自社所有)環境で現地ベンダーのパッケージソフトをカスタマイズしたものを使用。データベースは「SQLServer」を利用していた。本社の生産管理システムからは独立した小規模なシステムだった。

図1 米田がベトナム拠点で利用する生産管理システムの概要とAzure上での刷新効果
図1 米田がベトナム拠点で利用する生産管理システムの概要とAzure上での刷新効果
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 システム開発責任者の米田良平氏は、「日本は日本、ベトナムはベトナムという体制だったため、生産管理システムも個別に運用していた。そのため本社からは在庫や出荷の状況が分からなかった」と話す。

 ベトナム拠点の状況を把握できないまま日本からの注文数が増える中で、様々な問題が生じた。米田氏は「ベトナムで製造した製品が日本に出荷される正確な時期が分からず、納期の回答遅れが出た。急に原料の糸や資金が足りないといってくることもあった」と打ち明ける。