Q:マイナンバーは行政の話だから、民間企業では対応の必要はない?

マイナンバー制度は、行政と国民の関係が中心になる。そのため、行政の業務プロセスや情報システムには大きな変更が必要になるかもしれないが、民間企業にも影響があるのか? 影響があるのであれば、どのような対応が必要になるのか?

A:民間企業でも、ほとんどがマイナンバー制度に対応する必要があります。マイナンバー法では、企業ごとに「法人番号」が振られることになります。マイナンバー制度の運用が開始されると、従業員の税や社会保障、業務取引に関わる各種法定調書にマイナンバーと法人番号を記載することが義務づけられます。このため、関係する業務プロセスや情報システムの改修が必要になります。情報システムにマイナンバーを管理する仕組みを追加したうえで、従業員にマイナンバーを申告してもらい、データベースで管理することになります。さらに、社内で運用している関係書類の様式を変更することも必要でしょう。

 マイナンバー制度は、行政と国民の関係が中心であり、民間企業は制度発足に向けて何も準備する必要はない――。こう考える向きもあるかもしれないが、決してそんなことはない。民間企業にもマイナンバー制度に向けた対応が必要なのである。

 マイナンバー制度の運用が開始されると、企業は従業員の税や社会保障、業務取引に関わる各種法定調書を行政側に提出する際(例えば、市町村に提出する「給与支払報告書」や「特別徴収票」、税務署に提出する「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」や「不動産の使用料等の支払調書」など)、調書にマイナンバーを記載することが義務づけられる。

 銀行・証券・保険などの金融機関の場合は、利子・配当・分配金・年金・満期返戻金・保険金・償遺などの各種支払調書に対して、支払先の顧客のマイナンバーを記載することが求められる(3年の経過措置あり)。また、特定のケースでマイナンバーを利用する立場に立つこともある。具体的には、銀行や証券会社、生命保険会社、損害保険会社などは、激甚災害が発生した場合、「あらかじめ締結した契約に基づく金銭の支払いを行うために必要な限度で個人番号を利用することができる」とされている。