今提出している法定調書を確認する

 税務手続きで、誰のマイナンバーが必要か確認するためには、今、会社が税務当局に提出している法定調書の種類を考えよう。従業員を雇っている会社であれば、「給与所得の源泉徴収票」を提出しているはずだ。また外交員、個人デザイナー、講師、弁護士、税理士などに報酬を支払っている場合は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出するだろう。株主に配当を支払っている場合は「配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書」を、個人地主に賃料を支払っている場合は「不動産の使用料等の支払調書」を提出しているだろう。

 法定調書には61もの種類があるが、そのすべてを調べる必要はない(法定調書の種類はこちら)。今、会社が提出しているもの、さらにいえば、今後提出が予定されるものが何かを、経理担当者に確認しよう。

 自社に関係する法定調書の種類が把握できたら、その対象者を確認する。「給与所得の源泉徴収票」であれば、従業員とその扶養家族が対象者となる。それ以外の法定調書であれば、従業員と扶養家族以外が対象になる場合が多い。例えば、「配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書」であれば、株主が対象者となる。

マイナンバー対応の類型を考える

 対象者が把握できたら、類型化する。(1)従業員と扶養家族(税務手続き)、(2)従業員と扶養家族(社会保障手続き)、(3)株主・地主(税務手続き)、(4)外部個人取引先(税務手続き)というように、分類していこう。この際、取得タイミングや本人確認方法、その他の留意点が同じものをうまくグループ化できるよう、会社との接触頻度などを考慮しつつ、類型化するとよいだろう。

取得タイミングと本人確認方法を検討する

 対象者の類型化ができたら、対象者からマイナンバーをいつどのような方法で取得するか、どのような本人確認方法をとるかを検討する。

 従業員と扶養家族であれば、2015年10月以降、任意の書式に、マイナンバーを記載し会社に提出してもらうとよい。これに対し、短期アルバイトなどの場合は、採用時か勤務中に取得しないと、取得しそびれることもあるので、注意が必要だ。また講演講師のような1回限りの依頼相手だと、さらに取得しそびれることもあるので、対面した時に直接取得する方法のほか、メールか郵送も検討した方がよいだろう。

 マイナンバー法では、なりすましを防止するため、本人確認の履行が義務付けられる。しかし本人確認と一言でいっても、可能な手段が多岐に渡るため、あらゆる方法を想定すると混乱が生じる恐れもある。そこで、対象者の類型ごとに、会社として、あらかじめ本人確認方法を決定しておいた方が、混乱が少ないだろう。

 どの対象者類型であっても、個人番号カードが一番便利だ。個人番号カードならこれ1枚を確認するだけでよい。そうでないと、基本的には、通知カードと運転免許証というように、2枚の書類を確認しなければならない。しかし個人番号カードの交付は申請制なので、対象者全員が個人番号カードを持っているとは限らない。したがって、個人番号カード以外の本人確認方法も検討しておくべきである。

 従業員の扶養家族であれば、実務上は、家族の通知カードと家族の運転免許証を、従業員に持参してもらう方法が考えられる(詳しくは水町氏のブログを参照)。講演講師であれば、通知カードと運転免許証の写しを郵送してもらったり、スキャンデータをメールに添付してもらったりすることが考えられる。

 なお、従業員の場合は、特例的に通知カードだけで事足りる。従業員なら採用時に本人確認をしており、日々接触しているので、顔を見ただけで人違いでないことが確認できるからだ。

 このように、対象者の類型ごとに、会社として確認する書類やその方法(対面/郵送/メール)を決めておく。