10月から通知されるマイナンバー対応のために、いったい何をすればよいのか。「マイナンバー担当に任命されてしまっては大変」「何かあれば逮捕されてしまうのでは」という声すら聞こえてくる。しかし、マイナンバーは確かに大切に取り扱わなければならないものだが、そこまで恐れなければならないものではない。具体的に考えれば、対応はそれほど難しくない。マイナンバーの取得・利用・提供・委託・管理・廃棄の具体シーンに即した注意点を順を追って解説していく。

 マイナンバー対応のためにやるべきことは何か。マイナンバー法を読んでみても、法律解説を見てみても、法律実務家以外は「?」となることも多いのではないか。さらにいえば、マイナンバー法はかなり技術的な法律であるため、法律実務家から見ても難解な部類に属する法律であると思われる。小難しい法律は、法律実務家に委ね、それよりも、マイナンバーを取り扱う具体シーンにおいて、やるべきことを考えよう。具体的に考えると、それほど難しくはなく、常識的な対応をすればよいということがわかるはずだ。

 そのためにはまず、(1)誰のマイナンバーが必要か把握し、(2)マイナンバーを取り扱う場面を類型化する。(3)類型化した対象者ごとに、マイナンバーの取得方法、本人確認方法を決定し、(4)今の事務の流れを確認し、その中にマイナンバーを追加するシミュレーションをしていこう()。

図●マイナンバー対応のための取り組み手順
図●マイナンバー対応のための取り組み手順
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誰のマイナンバーが必要か把握する

 最初にやるべきことは、誰のマイナンバーが必要かを把握することだ。従業員と扶養家族のマイナンバーだけであれば、マイナンバー対応はシンプルになる。従業員と扶養家族以外のマイナンバーを必要とする場合は、取得タイミングや本人確認方法などが変わり得るので、まずは誰のマイナンバーが必要なのか把握しよう。

 といっても、気の遠くなるような膨大な洗い出しが必要となるわけではない。マイナンバーは「社会保障・税番号制度」とも呼ばれる制度であり、会社では税務手続きと社会保障手続きで使っていく。後者の社会保障手続きでは従業員と扶養家族のマイナンバーが必要だと考えられるので、前者の税務手続きで誰のマイナンバーが必要かを確認しよう()。

表●誰のマイナンバーが必要かを洗い出す
従業員・扶養家族以外のマイナンバーが必要な場合も。法定調書の対象者を確認
社会保障 従業員・扶養家族