図2●健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届と厚生年金保険70歳以上被用者該当届が統合された新しい帳票様式
図2●健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届と厚生年金保険70歳以上被用者該当届が統合された新しい帳票様式
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 健康保険・厚生年金保険(適用関係)の事務で注意しなければならないのは、マイナンバー対応と並行して、既存の帳票を統廃合する業務改革を行っている最中ということである。例えば、これまで異なる帳票であった健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届と厚生年金保険70歳以上被用者該当届が、統合された帳票様式へと変更される(図2)。このような様式の変更が数多く発生する。

 こうした事情があるため、健康保険・厚生年金保険の適用関係の帳票へのマイナンバー記載は、1年遅れの2017年1月1日提出分から始まる。企業の事務部門としては、マイナンバーの記載と帳票様式の変更に同時に対応していかなくてはならない。

(4)健康保険の給付

 健康保険組合に提出する給付関係の書類、例えば療養費の支給の申請、傷病手当金の支給の申請、出産育児一時金の支給の申請、出産手当金の支給の申請、高額療養費の支給の申請などの書類についても、今後マイナンバーを記載して提出することになる。

 ただし、記載の開始時期についてはまだ正式に発表されていないが、適用に関する帳票と同様に2017年1月開始になる見通しである。

(5)年金保険

 年金業務においても、届出書などについては今後マイナンバーを記載して提出することになる。海外に居住する年金受給者などにはマイナンバーが付かないため、日本年金機構の内部では基礎年金番号を使った処理を続けるが、企業が提出する事務書類などについてはすべてマイナンバーを記載することになる。

 なお、日本年金機構では住民票コードから被保険者と受給権者のマイナンバーを取得する予定だが、住民票コードが確認できない厚生年金被保険者と国民年金第3号被保険者については民間企業にマイナンバーを照会する予定になっている。このため企業は、それに対応する必要がある。また、20歳前の人を雇用して20歳前厚生年金等資格取得届を提出する際には、必ず雇用者の本人確認をしてマイナンバーを記載しなければならない。

 年金保険のマイナンバーを使った届出開始時期は2017年1月の予定であり、帳票様式が確定するのは2015年12月である。

 以上見てきたように、社会保障関係では、書類へのマイナンバーの記載開始時期にかなり流動的な部分が残っている。それだけでなく、本人が自らすべき手続きと会社が代行する手続きが現状であいまいになっており、これを整理しなければならないという問題もはらんでいる。2015年6月には、サイバー攻撃による日本年金機構からの個人情報漏えい事件も発覚した。具体的な事務運用の移行については、今後も最新情報を確認していく必要がある。