事務の委託と安全管理措置

 マイナンバー関連事務の委託については、安全管理措置と深い関係があるため、ここで整理しておく。マイナンバー法第11条では「個人番号利用事務等の全部又は一部の委託をする者は、(中略)当該委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない」と規定され、委託者は委託先に対して「必要かつ適切な監督」という義務を負うことになる。

 「必要かつ適切な監督」とは、具体的に(1)委託先の適切な選定、(2)安全管理措置に関する委託契約の締結、(3)委託先における特定個人情報の取り扱い状況の把握の3点が要求される。受託する側が大規模事業者としての安全管理措置を講じていることは前提として、契約書上も安全管理措置に関して縛りをかけると同時に、契約内容の順守状況について報告を求める規定や委託先に対して実地調査ができる規定も盛り込まなくてはならない。

 また、再委託や再々委託などは最初の委託者の許諾が必要となる(図2)。最初の委託者が許諾した場合、委託先に対する監督義務を負うだけでなく、再委託・再々委託先に対する間接的な監督義務も負うことになる。つまり、委託者はすべての委託先に関して責任を負うという前提で、委託の是非の判断をしなくてはならない。

図2●マイナンバー関連事務の委託に関する再委託の許諾と監督義務
図2●マイナンバー関連事務の委託に関する再委託の許諾と監督義務
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