マイナンバーの収集・保管
(1)収集
マイナンバー制度では、集める意思を持って自己の占有に置くことを「収集」と定義している。マイナンバーを記載したメモを受け取ったり、聞き取ったマイナンバーをメモしたりすることはいずれも収集に該当する。一方、単に「マイナンバーを見る」ことは収集とはみなされない。
収集したマイナンバーを安全に取り扱うことは当然だが、人事や経理の担当者以外の者が扱ってはいけないということではない。大きな組織では、各部署の庶務担当が従業員のマイナンバーを収集することもあるだろうし、謝礼金の支払いなどでは、現場の営業担当者などがマイナンバーを収集することになるだろう。
実務的にこのような運用は問題ないが、勝手にやってよいというわけではない。企業としてルールを整備し、どのような立場の者がどのような任務で、どのようにマイナンバーを扱うのかを決めておく必要がある。収集する立場の者は、相手の本人確認を行った後、マイナンバーの記載された書類を人事や経理の担当者に速やかに渡すこととし、自分の手元に残すようなことはしてはならない。
(2)保管
マイナンバーの「保管」は、マイナンバー法で規定された事務に使うことを目的とした場合のみ認められている。それ以外の目的で保管することはできない。
従業員については、社会保障・税関係手続きで翌年度も継続的にマイナンバーを利用することが想定されるため、人事データベースなどで保管することは当然ながら認められる。
また、法令によって一定期間保存が義務付けられているものは、その法令に従うことになる。マイナンバー関係の事務が終了し、今後使わないことが明らかであっても、その書類に関する法令によって定められた期間は保管しておかなくてはならない。
なお、マイナンバー取得の際の本人確認で、本人確認のための書類を確認することは必要であるが、その書類を証憑(しょうひょう)として保管しておく義務はない。マイナンバー法で規定された事務なので保管は可能であるが、安全管理が求められることに注意が必要だ。
では、マイナンバー関係の事務を処理する必要がなくなった場合で、かつ法令の保存期間を経過した場合にはどうするべきか。マイナンバー制度では、マイナンバーをできるだけ速やかに廃棄または削除しなければならないとされている。これについては次回の「廃棄」のところで再度取り上げる。