「2016年1月にマイナンバー制度が導入されると何をしなければならないのか」を正しく理解している企業はそれほど多くない。特に中堅中小企業では理解も対策も遅れている。。中堅中小企業の情報化動向に詳しいノークリサーチの岩上 由高シニアアナリストによる寄稿の後編では、システム面での対応策を解説してもらった。

 ここまで見てきたように、マイナンバー制度対応は業務システムや業務フローに相応の影響を与える。中堅・中小企業は残されたわずかな時間の中で、限られた予算や人員の下で対応を進めていかなければならない。当然ながら、人事/給与システムも現状のままというわけにはいかないだろう。

慌てることなく、ポジティブな姿勢で取り組むことが大切

 では、どのような対策を講じればよいのだろうか。その参考となるデータを図1に示した。小規模企業(年商5億円未満)と中小企業(年商5億円以上50億円未満)に対して、「マイナンバー制度対応のために人事/給与システムで予定している具体的な取り組み(複数回答可)を尋ねた結果である。比較的対応が進んでいる企業の取り組み状況を見ることで、今後の参考にしようというわけだ。

図1●マイナンバー制度対応のために人事/給与システムで予定している具体的な取り組み(いくつでも)
図1●マイナンバー制度対応のために人事/給与システムで予定している具体的な取り組み(いくつでも)
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 図1に挙げた5つの選択肢は大きく分けて2つのアプローチに大別できる。

 アプローチ1は「既存の人事/給与システムを改変する」というもの。該当する選択肢は「既存の人事/給与システムを変更(バージョンアップ)する」、「既存の人事/給与システムを刷新(別パッケージへ換えるなど)する」、「新規に人事/給与システムを導入する」の3つである。

 アプローチ2は「専用システムを新規に追加する」というもの。該当する選択肢は「マイナンバーを収集/保管する専用システムを新規に導入する」と「帳票にマイナンバーを追記する専用システムを新規に導入する」の2つである。