Q:マイナンバーは個人の氏名・住所・生年月日などと同じレベルの個人情報と考えてよいのか?

A:マイナンバーの利用目的は運用開始当初は(1)税、(2)社会保障、(3)災害対策の3つの分野における行政の事務や手続きの効率化・精緻化に限られ、それ以外の目的で企業が勝手に利用することはできない。マイナンバーの収集時に「従業員に対して利用目的を明示する」というステップが設けられているのもそのためだ。例えば、社員をユニークに特定できるからといってマイナンバーを社員番号代わりに用いることは許されない。また、退職した社員のマイナンバーは一定期間経過後に確実に削除することが求められる。前述のように個人情報保護法よりも重い罰則規定もあるため、マイナンバーについては氏名・住所・/生年月日といった従業員の属性よりも更に高いレベルのデータ保護が必要になると考えるべきだろう。



 このようにマイナンバー制度は中堅・中小企業の人事/給与に関連する業務全体に大きな影響を与える。では、マイナンバー制度への対応はいつまでに終わらせればよいのだろうか。小規模企業(年商5億円未満)と中小企業(年商5億円以上50億円未満)のそれぞれに対し、「マイナンバー制度の施行に合わせて一般企業が一連の準備を終えるべき期限」を尋ねた結果を図2に示した。

図2●マイナンバー制度の施行に合わせて一般企業が一連の準備を終えるべき期限
図2●マイナンバー制度の施行に合わせて一般企業が一連の準備を終えるべき期限
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 過半数の企業が「全く見当がつかない」と回答していることがわかる。実際には2015年10月から個人に対してマイナンバーの配布が始まり、2016年1月には実際の運用が開始される。つまり、上記に述べた企業が取り組むべき様々な事柄については2015年のうちに準備を完了させておく必要がある。中堅・中小企業のマイナンバー制度対応は非常に差し迫った状況といえるだろう。

 後編ではシステム面での対応策を解説する。