問題解決技法の1つ。2004年頃に米国のデザイン・ファームIDEOによって確立された。ここでいう「デザイン」は、色彩や形などを決めることにとどまっておらず、誰かの抱える問題を見つけだし解決すること、というような広い意味を持っている。

 デザイン思考は基本的には(1)共感、(2)問題定義、(3)創造、(4)試作、(5)試験(検証)、の5つのステップから成るとされる。前半のステップでは、論理的に問題を抽出する以前に、まず対象者の心情を深く理解することに重きを置く。実際に対象者の置かれている労働環境を体験してみるなどだ。そうしてみることで、対象者の抱える苦痛の原因を特定したり、在るべき姿などを定義する。そして解決のアイデアをブレーンストーミングなどで出しあって試作に取りかかり、解決策になるかどうかを検証する。

 共感のステップで、対象者に対する深い洞察を行うことで、対象者自身もまだ言葉にできていないような潜在的なニーズを発見したり、観察に基づいた深い洞察を行えたりする可能性が高まる。その結果、コミュニケーションの改善や、効率的なオフィス環境などの実現に役立つアイデアが得られる可能性も高くなる。このようにして、ワークスタイル変革におけるITの活用法の検討や、オフィスレイアウトの変更、マネジメントルールの変更といった課題に対して、デザイン思考が効力を発揮する可能性は十分にある。