固定席を設けず、デスクを共用するオフィス形態のこと。こうした考え方に基づく実践例は1980年代からあったとされているが、1人1台のパソコン環境や、グループウエアなどが普及し始めた1990年代半ばから、本格的に取り組む事例が徐々に増え始めた。仕事に必要な資料の大半を電子化して自在に取り出せる情報共有ツールのほか、どの席からでも手軽にアクセスできる無線LANなどを導入しておくことが一般的である。

 フリーアドレスの推進理由は主に2つある。1つめはオフィススペースの効率化。例えば、外回りなどで社員が常に一定割合外出する職場であれば、フリーアドレス制にすることでオフィススペースを削減できる。

 推進理由の2つめは、社員間のコミュニケーションの活性化である。固定席では顔を合わせる機会が乏しいような複数の部署の人間が隣り合って仕事する機会を設けることで、風通しの良い組織風土作りを図れる。コンサルティングファームのようにプロジェクトごとにチームを組む相手が変わるような組織にも向いている。

 課題としては、上司と部下が必ず近くに座るとは限らないため、それを前提とした人事評価制度に見直すことが必要になるケースがある。また、ペーパーレス化を事前に推進しておかないといけないことは言うまでもない。