携帯電話と同様の通信機能を備え、パソコンに近い操作性や情報処理能力といった高機能性を備えた携帯端末のこと。略して「スマホ」と呼ぶことも多い。

 スマートフォンの先駆けとなったのは、一般的には、日本国内で2008年に発売された「iPhone 3G」とされる。ただし実際には同様なコンセプトを持った機種は、その前から登場しては市場に定着せず消えていった。このため評者によって、スマートフォンの先駆けとみなす機種は異なる見解が存在する。

 例えば、2005年に通信事業者のウィルコムが発売したシャープ製の「W-ZERO3」や、1999年にカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)が発売した「BlackBerry」シリーズ、さらには、1993年に米アップルが提唱したPDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)の「Newton」をスマートフォンの源流とみなす向きもある。

 2015年現在、スマートフォンの国内出荷台数は従来型の携帯電話である「フィーチャーフォン」を大きく上回っており、フィーチャーフォンを駆逐しつつある。ただし機能的な特徴だけでは、スマートフォンとフィーチャーフォンの線引きはあまり明確ではなくなってきた。スマートフォンの主な使い道である「メールを読み書きしたり、インターネットを閲覧したり、アプリケーションをダウンロードして動かしたりできる」といった特徴は、フィーチャーフォンも備えているからだ。

 そうした背景もあり、IT市場調査会社のIDCジャパンでは、スマートフォンとフィーチャーフォンの区別は「主に搭載OSの種類による」という見解を打ち出している。同社の発表資料によると、「iOS、Android、Windows、BlackBerryなどの汎用OSを採用し、インターネットに接続でき、アプリケーションが稼働する、通話機能を有する画面サイズ7インチ未満の携帯端末」と定義されている。

 スマートフォンは、長年にわたり高機能なモバイル機器の代表だったノート型パソコンが成しえなかった使い方を定着させることに成功した。例えば、GPS(全地球測位システム)機能を標準的に装備しユーザーの位置情報を地図情報と手軽に組み合わせて道案内などに活用できること、片手のタッチ操作のみで文章入力が可能な操作感、内蔵カメラで静止画や動画を手軽に撮影してその場で誰かに送信できる点などが挙げられる。

 このように、手軽かつ高機能な携帯情報端末として普及したスマートフォンは、従業員の業務環境を検討するうえでも不可欠なツールとなった。1台のスマートフォンで従業員の私的なデータと業務データを両方扱うための「MDM」「MAM」「MCM」といった管理手法も生まれている。