いよいよマイナンバーの通知開始が迫る中、民間企業は対応の準備をどう進めているのか。2015年8月26日に開催された「マイナンバー対策待ったなし!~今こそ求められるセキュリティ対策~」(主催:日経ビジネス企画編集センター)の基調講演では、サッポログループの機能分担子会社として、グループ全体のマイナンバー対応を中心となって担当しているサッポログループマネジメントの城戸寿弘氏が登壇。サッポロビールをはじめとするグループの取組状況やプロジェクト推進体制を説明した。

(構成:星野友彦=日経BPイノベーションICT研究所)

 サッポログループでは2015年2月に部門横断のプロジェクトを立ち上げて、マイナンバー対応に向けた取り組みを進めています。現時点ではようやくやるべきことの半分ぐらいができました。

 マイナンバー対応で民間企業がすべきことは以下の3つと考えています。1つめは個人番号の収集。従業員に加えて、その扶養親族や個人取引先も収集対象となります。2つめは、集めた個人番号の厳格な管理。そして3つめが、記載を求められた法定調書に番号を記載して行政機関へ提出することです。

対応は生易しくない

サッポログループマネジメント グループ人事総務部 人事グループリーダー 城戸 寿弘 氏
サッポログループマネジメント グループ人事総務部 人事グループリーダー 城戸 寿弘 氏

 このように整理するとシンプルですが、突き詰めて考えるとマイナンバー対応は決して生易しいものではないというのが弊社の認識です。まず企業経営へのインパクトとリスクは非常に大きい。初期収集の段階で全従業員とその扶養親族、さらに支払先の個人などの個人番号を集めなければならず、さらに集めた個人番号は特定個人情報として厳格な管理する必要があるからです。

 グループ各社にはさまざまな部署があり、業務内容は多岐にわたります。そのそれぞれについて、番号対応が必要な業務を洗い出し、必要ならば関連システムを新たに開発・整備しなければなりません。加えて契約関係や取扱規程の整備など、しなければならない業務は無数に出てきます。

 2つめの認識としては制度対応には多大な労力がかかる一方で、施行までの期間が短いということがあります。私どもではグループ全体で27社、1万3000人の従業員が対象となりますが、これに従業員の扶養親族、および個人取引先が加わるので、かなりの規模になります。

 3つめにグループ各社の実態に合わせた対応も必要になると認識しています。グループ各社の共通機能を担う弊社としては、グループ全体での対応が必要です。その際に各社の会社規模や業態、雇用形態が異なっている点を踏まえて対応方法を検討する必要があります。特に外食事業を担当するサッポロライオンと、関連会社で喫茶業態を展開するポッカクリエイトの2社は、パートやアルバイトの方々の人数が多く、入れ替わりが比較的多いので、対応に頭を悩ませています。