A.最近はIoT(モノのインターネット)というコンセプトの下、モノや人の動きをセンサーなどで検出して情報を集め、これまで実態が分かりづらかった状況を可視化したり、分析して新たな知見を得ることへの関心が高まっています。こうした考え方はワークスタイル変革にも応用できそうです。

 日本航空は2015年10月、名札型のウエアラブルセンサーを使ってワークスタイル変革施策の成果に関する分析や新たな施策の検討に役立てる実験に着手すると発表しました(ニュースリリース)。従業員の行動データをウエアラブルセンサーで取得して分析し、従業員満足度の向上につなげます。

 具体的にはセンサーで収集した行動データをベースに、「組織活性度」を数値化。この数値と、各職場のワークスタイル変革の実施状況の相関性を人工知能で分析することで、各施策の成果を正確に把握できると期待します。従業員の活動状況を定量化し、新たなワークスタイル変革施策の検討につなげようとする試みです。

図●日本航空が2015年10月から約3カ月間行う実証実験の概要
図●日本航空が2015年10月から約3カ月間行う実証実験の概要
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 このほかIoTは労働衛生の面でも用途があります。健康状態を検出できるセンサーを従業員に身につけてもらえば、真夏の屋外などでの作業をしている従業員が熱中症などにかかる危険がないかどうか、リアルタイムに把握できるようになります。過度のストレスで脈拍などに異常が見られた従業員に自動的に警告を発することも、原理的には可能です。

 ワークスタイル変革の成果を指標化するのに苦心している事例が多いことは以前にも触れました。あらゆるモノやヒトの状況をデータ化しようとするIoTの技術の進展が、このもどかしい状況を変えるきっかけとなるかもしれません。