A.ワークスタイル変革に伴うITの導入で必ず検討が必要なことの1つは、スマートフォンやタブレット向けのアプリケーションをどのように調達するか、という問題です。具体的には、ソフト会社に発注してアプリケーションを独自開発するか、パッケージソフトの購入やクラウドサービスの利用など、出来合いのアプリケーションを活用するか、という判断になります。
基本的な考え方としては、なるべく出来合いのソフトもしくはクラウドサービスを使う方向で間に合わせるべきでしょう。「開発後もソフトの保守費用がかさむ可能性がある」からです。スマートフォンやタブレットはOSのバージョン、画面解像度、性能などが頻繁に変わります。
例えばOSは米アップルのiOSと米グーグルのAndroidが今の2強ですが、この状態がいつまで続くのかもはっきりしません。またOSがバージョンアップするたびに手直しを迫られて、ソフト開発会社に改修を依頼したり、不具合に悩まされたりするリスクもあります。しかも携帯型端末は、今後数年のうちに、眼鏡型や時計型といったウエアラブル端末も普及するなどでさらに多様化していく可能性があります(図)。
もちろん改修が生じるのは市販のアプリケーションやクラウドサービスも同様ですが、独自ソフトを手直しするのに比べて迅速かつ低コストに対応版を入手できるでしょう。
実際、スマートフォン用のアプリケーションを自社開発した企業の中には、端末のOSのバージョンアップのたびに改修の予算確保を迫られた結果、市販のソフトやサービスを利用する方向で見直した事例もあります。
もちろん、自社の業務ノウハウの塊のような業務ソフトが必要な場合は、この限りではありませんが、アプリケーションの独自開発はなるべく避けるべきでしょう。