労働力人口の急速な減少は日本経済に深刻な影を落としている。減り続ける労働力で、増え続ける業務をどうこなしていくのかは社会問題にもなりつつある。働き方改革への関心が高まっている背景には、この流れを打破しなければならないという危機感がある。
そこで注目されているのがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)だ。RPAとは、人の代わりにソフトウェア・ロボットの「ボット」にコンピューターの操作などを行わせること。メガバンクではRPAを活用することにより、万単位の従業員の減少に対応していくという。
コンピューターに向かって作業する時間が増えている今、確かにボットによって操作を自動化することは効果があるように思われる。デジタルで処理が行われるため、短時間で作業が完了し、しかも24時間365日文句ひとつこぼさず働き続ける。繰り返し行うデータ入力のような定型的な業務にはうってつけだ。
しかし、一方で「その効果は限定的であり、かえって業務プロセスを混乱させる」という見方もある。勝手な動きをする“野良ロボット”なども混乱のもとになる。こうした事態に陥ることについて日本IBMの中村航一氏は「業務の流れを見直したうえで、人とボットでどう作業分担するのか決めておく“業務改革の視点”が欠けているからです」と指摘する。
IBMでは、業務改革のロードマップを描いたうえで、ステップを踏んで業務プロセスを改善することを提唱している。RPAは業務改革の手段の一つであり、業務全体の効率化を見据えたうえで導入することにより初めて効果を発揮するという。そのため、他のRPAベンダーにはない、IBMならではの具体的なソリューションが提示された。それが昨年10月に発表された「IBM Robotic Process Automation with Automation Anywhere」(以下、IBM RPA)である。