企業のマーケティング部門は、自社の競争力向上を目指し、デジタルとアナログにとらわれない、あらゆる接点を活用した顧客体験の高度化に取り組んでいる。ここで企業が扱うデータの種類と容量が急増し、施策を展開するチャネルも多様化が進んでいる。しかし、デジタルマーケティングに関わる技術の進化は激しく、斬新だったはずのサービスがすぐに陳腐化してしまう。リアルタイムでパーソナライズした顧客体験を構築できたとしても、最新の技術を取り入れて絶えず強化を続けていかないと、ライバルとの競争優位を維持できなくなる恐れがある。企業がこの課題を解決するために必要な視点は何か、そしてどう取り組むべきなのか。デジタルマーケティングを取り巻く最先端の動きを追う。

企業の各部門が顧客一人ひとりを認識できているか

富士通株式会社<br>イノベーティブIoT事業本部<br>デジタルマーケティング事業部<br>事業部長<br>平山 将氏
富士通株式会社
イノベーティブIoT事業本部
デジタルマーケティング事業部
事業部長
平山 将氏

 「あなたの会社は、お客様が本当に望むことを届けられていますか」と問われたとき、できていると自信を持って答えられる企業はほとんどいないだろう。

 例えば、ある顧客がゴルフショップのECサイトを見ていて、飛距離を伸ばせるドライバーを見つけたとしよう。次の休日に店舗に出向き、試打でよく飛ぶことが分かり、気に入ってその場で購入した。ところが、購入した2日後にECサイトから5%割引のオファーが届いたらどう感じるだろうか。さらに1週間後には、10%割引とゴルフボールのプレゼント付きという、さらに条件のいいオファーが届いたとしたら。気に入ったドライバーを購入した体験のはずなのに、顧客に損をした気分を味わわせてしまうことになる。

 なぜ、こうなってしまうのか。原因は、マーケティングやカスタマーサービスなど、企業内の各部門が、一人の顧客を別々に管理しており、同じ顧客だと認識できる仕組みになっていないことにある。

 一人の顧客に一貫したアプローチをしたいという企業を支援するため、富士通は2016年11月に「FUJITSU Digital Marketing Platform CX360(以降、CX360)」を発表した。CX360の狙いは、顧客の行動を全方位から把握し、リアルタイムに、パーソナライズしたマーケティングを実現することだ。企業に対し、顧客体験の設計からデータ分析、新しいビジネスプロセスやシステムへの実装、そしてその運用まで、包括的に支援していく。

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