データ分析環境のプラットフォームを刷新
消臭芳香剤や防虫剤など日用雑貨を製造・販売するエステー株式会社(以下、エステー)は、ここ数年、マーケティングデータの分析と活用を強化してきた。同社の経営戦略部門 ITグループのマネージャーである武蔵由香子氏は「スピード経営を標榜し、事業部制を導入したことにより、商品に特化した分析のニーズが徐々に高まりました」と語る。
エステーにとって重要なマーケティングデータは、各量販店のPOSデータと、エステーが把握する実販データであり、現在、合わせて20億件を超えるデータが常時格納されている。事業部門はこの大量のデータを分析してマーケットの動向を把握し、それに応じた売り上げ計画や販売戦略を立案する。ITグループにはそれを支えるデータ分析環境の整備が求められた。
もともとエステーでは、情報系データベースとしてオラクルDBを導入し、主要な基幹系データである製造・物流・販売などのデータを蓄積し分析を行ってきた。しかし、膨大な件数のPOSデータや実販データをベースに、各エンドユーザーがそれぞれの視点でスムーズに分析を行える環境をオラクルDBで構築することに限界があった。そこで同社は2013年にSAP HANAを導入し、オラクルDBから分析用のデータを切り出してHANAに移行、ユーザー部門向けのデータ分析環境を整えたのだった。
成果はすぐに表れた。お客様相談センターではデータを顧客サービスに活用し、顧客の要望に応えたきめ細かな情報提供を実現。2016年9月には、公益社団法人 企業情報化協会(IT協会)のサービス・ホスピタリティ・アワードで「奨励賞」を受賞した。さらなるサービスの向上を目指す同社は、データ分析環境のプラットフォームの刷新を計画していた。