日本経済の中で重要な位置を占める製造業。しかし、その現場では少子高齢化やバブル崩壊後の新規採用絞り込みなどによって、人材不足が目立つようになってきた。特に深刻なのが、出荷前の外観検査工程におけるベテランの不足である。そこで最近は、自動的に画像検査を行う検査機の導入も増えてきた。しかし異常パターンとの比較に基づく検査では誤検知が多くなり、結局は目視確認が必要になっている。そこで注目されているのがディープラーニングの活用だ。ディープラーニングによる外観検査はどこまで実用化されているのか。最前線を紹介しよう。

 製造業は現在も日本経済のなかで重要な位置を占めており、日本企業が持つ「ものづくり」に関する高い技術力は、世界市場から依然として高い評価を受けている。しかしその現場は決して楽観できる状況ではない。人材不足が顕著になっており、ノウハウの継承が難しくなっているのだ。

 なかでも大きな課題となっているのが、外観検査における人手不足である。これは出荷前の製品の外観をカメラで撮影し、その画像を人の目でチェックして正常か不良かを判断する工程。日本の製造業における「高品質」を支える上で、重要な役割を果たしている。ラインを流れる製品を短時間で確実にチェックするには、確かな判断力が必要だ。そのため従来は、経験豊富なベテラン人材が担当することが多かった。

 しかし最近では、このような人材を確保することが難しくなっている。バブル経済崩壊後に長年にわたって新規採用を絞り込んだ結果、どの企業にも30~40歳代の中堅社員が少なくなっているからだ。そのため退職間近の社員や、すでに退職した人を再雇用するという形で人材を確保するケースも多かったが、最近ではこれも限界を迎えつつある。

 こうした課題を解決するために、画像検査を自動化しようという取り組みが進んできた。異常パターンを洗い出し、それとの比較を行うことで異常を検出する検査機もすでに存在する。しかし実際には異常パターンをすべて洗い出すことは難しく、グレーゾーンが大きくなりやすい。その結果、誤検知(虚報)が多発し、結局は目視確認が必要になっている。

 そこで最近はさらに一歩進んだ取り組みが始まっている。それがディープラーニング(人工知能)を活用した異常検出だ。では実際にどこまで実用化されているのだろうか。

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